解説している大局観・形成判断の本覧

羽生善治の終盤術 Vol.1 攻めをつなぐ本
終盤における正しい大局観、それに沿った手を一貫して指し続けることが、逆転を許さずに優勢な将棋をそのまま勝ちきる最大の秘訣である、と羽生二冠の実戦を通じて学べる一冊。伸び悩んでいる有段者の方にお勧めです。

イメージと読みの将棋観
羽生、谷川、佐藤、森内、渡辺、藤井のトップ棋士6人が「タイトル戦の局面」や「封じ手における駆け引き」など共通のテーマに対して、その読み筋と考え方を披露して好評を得た「将棋世界」の連載を一冊にまとめたものです。

イメージと読みの将棋観 Vol.2
シリーズ第二弾。ここ数年で選択肢がグッと増えた序盤、新手・定跡の成否を巡る中盤、名棋士の息詰まる終盤などを題材に、羽生・渡辺・谷川・佐藤・森内・藤井の6人が、深い読みと独自の大局観を披露しています。

阿久津主税の中盤感覚をみがこう(阿久津主税)
NHK将棋講座(2010年4月〜9月)を加筆・再構成して単行本化したものです。中盤感覚よりも中級者を対象とした定跡の解説書といった趣が強いものの、構成面で意欲的な工夫がなされており、テレビ放送の内容に満足した方なら、読んで損はない作りになっています。

必ず役立つプロの常識(阿久津主税)
プロの思考をわかりやすく解説して、中・終盤における戦い方のコツ&丸秘テクニックを1冊にまとめたものです。「週刊将棋」で担当していた講座がベース。

将棋 あなたの一手、プロならこう指す!(高橋道雄)
中盤の仕掛け前後、勝敗の分かれ目となる終盤の重要局面を中心に、「プロ棋士はどういう判断基準でその局面を捉え、どんな指し手を選ぶのか」をテーマにした大局観の養成書です。

上達するヒント(羽生善治)
初心者から上級者を対象に「スピード」「駒の厚み」「大局観」など、将棋の上達に欠かせない基本的な考え方を羽生二冠がレクチャーします。言語化しにくい分野を誰にでも理解できる平易な文章にまとめた羽生さんの力量に脱帽。

島朗:読みの技法
研究の深さや分析の鋭さで定評のある島朗八段が、「島研」のメンバー(佐藤・森内・羽生)への取材をもとに、プロの構想や読みの違いを著わした一冊です。

佐藤康光の戦いの絶対感覚
この本は難しいですね(同シリーズの羽生王座版がさらに難解)。「大局観」の習得は手筋本と違って、短時間で出来るものではないと思うので本書の内容を完全に消化するにはかなりの時間と実力を要するでしょう。

森内俊之の戦いの絶対感覚
『耐える喜びを知ること』と書かれているように、受け重視の問題がいくつかありますので、受けの好きな方は本書からシリーズを読み始めるとよいでしょう。

羽生善治の戦いの絶対感覚
「創作次の一手」などは、狙い筋が明確でその一手によって勝ち負けがはっきりわかるようになっていますが、本シリーズはトッププロの実戦を基に「この局面・形勢をどのように判断して、いかなる方針の基に読みを進めていくか」を勉強する本ですので、非常に細かく・地味な手順が多いです。

谷川浩司の戦いの絶対感覚
シリーズ最終巻。光速の寄せに代表されるような鋭い攻めの手ばかりでなく、受けの手などもテーマに挙げられていて、谷川王位の将棋感覚を広範囲で感じることができるのが、この本のセールスポイント。

光速の終盤術(谷川浩司)
「終盤のみをテーマにした自戦記」といった趣が強く、「読みの技法」や「谷川浩司の戦いの絶対感覚」、「将棋世界」誌で連載されていた宮田敦史五段の終盤講座に近いと言ってもいいでしょう。九段の著書では最難関レベルの一冊。

谷川浩司の本筋を見極める
「NHK将棋講座(2006年4月〜9月)」の内容を単行本化したものです。テーマはズバリ「本筋」です。序盤での駒組み、仕掛けの是非、受け方、終盤の寄せなど、序・中・終盤で求められる「正しい考え方」を解説しています。

阿部隆の大局観 良い手悪い手普通の手
「NHK将棋講座(2004年4月〜9月)」のテキストを加筆し修正したものです。本書は定跡書ではなく「大局観」の会得が主眼となっています。我々アマチュアに人気のある戦法の頻出図をテーマに、形成をどう考え、どの手をどういう判断基準で選ぶかが、解説されています。

清水市代の将棋トレーニング
清水女流が講師を務めた「NHK将棋講座(2003年4月〜9月)」のテキストを加筆・修正したものです。テーマとなっているのは、序・中・終盤において指し手の指針となる「考え方」と具体的な「寄せ方(受け方)」です。

手筋の隠れ家
「手筋」というタイトルが付いていますが、実際はアマ有段者(高段者と推定)の将棋を題材として、中・終盤での実戦的な勝負術を解説しています。

とっておきの相穴熊(広瀬章人・遠藤正樹)
振り飛車穴熊のスペシャリスト・広瀬五段と遠藤アマ(七段)による相穴熊の指南書です。相穴熊の戦いで求められる独特の感覚と指し回しについて、お二人が互いに意見を述べていくという非常に珍しいスタイルになっています。

秘伝 穴熊王(美馬和夫)
穴熊一本でアマトップまで登りつめた稀代の穴熊師・美馬和夫さんによる穴熊特有の指し方と感覚の養成書。穴熊党は「とっておきの相穴熊」とあわせて必読です。

米長の将棋 1巻 居飛車対振飛車 上
手順の枝葉よりも局面全体を見渡した上での急所を噛み砕いて書かれていますので、ある程度の棋力がある方なら盤に並べずとも読み進められます。会長の現役時代の強さに「萌える」シリーズとなっています。

米長の将棋 2巻 居飛車対振飛車 下
前巻同様に居飛車対振り飛車の実戦譜から自戦記形式で「将棋の勝ち方」を解説していきます。相手の攻めを切らせる受けからその後の反撃など、緩急をつけた指し回しを勉強するには最適な一冊だと思います。

米長の将棋 3巻 矢倉戦法
本書は矢倉戦法の中の「雀刺し」にかなりのページ数を割いているので、序盤のポイントの積み重ねや玉頭におけるねじりあいなど矢倉特有の戦いがあまりみられないのが少し残念です。

米長の将棋 4巻 ひねり飛車・横歩取り
当時の対ひねり飛車対策である「位取り」や「タコ金」は玉の守りが非常に薄く、またバランスのとり方が難しい戦法です。だからこそ確かな大局観が求められるとも言え、教材として読み応えのある一冊となっています。

米長の将棋 5巻 棒銀・腰掛銀
「銀を捌く、捌かせない」戦い方を見ていきます。形は少々違えども、本書で掲載されている棒銀、腰掛銀の形は現代将棋に通じていますので、違和感はありません。

米長の将棋 6巻 奇襲戦法
シリーズ最終巻は角頭歩戦法、筋違い角などの奇襲戦法がテーマ。定跡から大きく外れた形を米長永世棋聖の「豪腕」が、どうまとめていくのかが参考になります。

大逆転!―させる技、させないテクニック
プロの実戦を題材として、終盤での逆転に関するテクニックをまとめたものです。コンセプトはいいですが、消化不良の感があります。

入玉大作戦−逃げるが勝ち!
棋界唯一の入玉本です。各章に15〜50の基本テーマ(1テーマにつき2ページ)があり、駒を犠牲にして上部開拓・玉の捌き方・点数を意識した戦い方、等の入玉戦法独特の解説がなされています。

これにて良し?−四間飛車VS急戦定跡再点検(高野秀行)
四間飛車対居飛車急戦に絞って定跡を再点検し、それらの形勢判断について詳しく解説した本です。テーマとなるのは棒銀、▲4五歩早仕掛け、斜め棒、鷺宮定跡、山田定跡、右四間の6つです。