米長の将棋 5巻 棒銀・腰掛銀

銀を捌かせる・捌かせない攻防を見ていく
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評価:A
対象者:5級〜三段
発売日:2004年5月

シリーズ第5巻は棒銀と腰掛銀がテーマです。棒銀戦法で銀交換になれば、同じ銀でも「攻めの銀」と玉を守っている「守りの銀」では価値が違ってきますので、当然攻め手が優勢になります。

まず、巻頭で銀交換後の典型的な成功例と後手の対抗策を紹介し、その後、米長九段の実戦譜の中で「銀を捌く、捌かせない」戦い方を見ていきます。細かい手順は違えども、本書で掲載されている棒銀、腰掛銀の形は現代将棋に通じていますので、違和感はありません。

297ページ、見開きに局面図が4枚の全4章構成です。

第一章 角換わり棒銀(棒銀対策の典型的な成功例ほか)
第二章 矢倉棒銀(強引な攻めに強烈な反撃ほか)
第三章 飛先交換腰掛銀(角を手持ちにして待ったほか)
第四章 角換わり腰掛銀(千日手へのコースほか)
巻末に全引用局の棋譜を掲載

第二章 矢倉棒銀 ▲加藤一二三 △米長邦雄:図は▲7九玉まで
△5五歩▲同歩△9五歩▲同歩△同銀▲同香△同香▲9四歩

いきなり△9五歩と仕掛けずに、△5五歩といれるのが見習いたい手筋です。同歩と取らせることにより、▲4六角からの睨みを予めシャットアウトしつつ、歩を切ることによって将来の底歩(△5一歩)を用意すると言う一石二鳥の手です。

シリーズ最終巻の「米長の将棋 6巻 奇襲戦法」では、米長九段が実戦で採用した角頭歩戦法をはじめとする奇襲戦法での戦いをみていきます。