米長の将棋 2巻 居飛車対振り飛車 下巻

巻末の棋譜も並べて勉強しましょう
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評価:A
対象者:5級〜三段
発売日:2004年2月

第2巻はシリーズ前巻「米長の将棋 1巻 居飛車対振飛車」と同様に、居飛車対振り飛車の実戦譜から自戦記形式で「将棋の勝ち方」を解説していきます。

ほとんどが中盤以降の局面をテーマ図としてあげていますので、70〜80年代の定跡が古いとかは関係なく、米長九段の力技や華麗な勝ち味が堪能できます。

297ページ、見開きに局面図が3〜4枚の全三章構成です。

第1章 勝利への展望(駒をはがす、決断の馬切りで意表を衝いたほか)
第2章 勝ちを決める(受けの鬼手が決まった、変哲もない寄せが重要ほか)
第3章 穴熊のすべて(2筋の歩を切ったのが敗着、粘り倒して勝つほか)
巻末に引用局全譜が掲載されています。

第二章 勝ちを決めるより ▲西村一義 △米長邦雄:図は▲3一銀まで

図から米長九段が魅せます。取ってくれと言わんばかりの△3二金が盲点となるの好手。▲同とは△同飛車で3一の銀にあたり、攻防が入れ替わるので▲4二金と絡みますが、△4三金と金ではなく"と金"の方を振り払うのが続く好手。そして▲同金に△1三角打で一丁上がりです。

銀を助けるためだけの▲4二金打しか指す手がなく、以下は△5八飛と下ろしてと金作りを目指して一枚一枚剥がしていきます。

プロ同士の将棋ですので、攻めっぱなしで勝つことはまれです。図のような相手の攻めを切らせる受けからその後の反撃など、緩急をつけた指し回しを勉強するには最適な一冊だと思います。

居飛車と振り飛車の対抗型はこの巻までですが、さらに勉強したい方は1994年に名人獲得記念として出版された「米長邦雄:泥沼流振り飛車破り」が非常に参考になるでしょう。

次の巻の「米長の将棋 3巻 矢倉戦法」では、矢倉戦にスポットを当てていきます。