島朗:読みの技法

羽生、佐藤、森内のトッププロが読み筋を披露
この本の詳細をAmazonで見る

評価:A
対象者:三段以上
発売日:1999年3月

研究の深さや分析の鋭さで定評のある島朗八段が、「島研」のメンバー(佐藤康光・森内俊之・羽生善治)への取材をもとに、プロの構想や読みの違いを著わした一冊です。

内容は、ある局面(プロの実戦や練習将棋、全くの創作)をテーマ図に挙げて三氏に個別にインタビューを行い、その局面についてどのように読みを入れてどう判断したかを解説してもらう、という構成です。

雑誌「将棋世界」の人気連載コーナー「イメージと読みの将棋観」の内容をより深く突っ込んだものにしたと思ってもらうとよいいでしょう(2008年10月追記:連載がようやく単行本化されました)。

右玉側を持ってどう考えるかがテーマ

第13番 仕掛けの構図より:図は△7五同角まで
矢倉を目指す後手が△7九角から一歩を交換したところがテーマ。ここで先手の右玉側を持って佐藤・森内・羽生の三氏はどのように指すかを詳しく見ていきます。

局面図には、次の一手がはっきりとしているようなものは採用せず、構想の違いによって判断も変わってくるようなものばかりを取り上げています。そのため、この三名の方々の読みもそれぞれ異なっており、大変勉強になる本です。

内容も豊富で、高度な構想にたくさん触れることができることが、本書のセールスポイントです。その反面、かなり難易度が高く級位者には難しい内容になっています。

この本は、有段者の方で、構想や形勢判断をさらに鍛えてみたいという方に大変オススメの本です。現在の将棋界を代表するといっても過言ではない方々ですから、構想の違いはあれど、全て高度な読みがはいっています。まさに伝説の「島研」が本になったといえるでしょう。ぜひこの本で、高度なプロの構想に触れてみてください。

三人の大局観や読み筋をそれぞれに勉強したい方は「佐藤康光の戦いの絶対感覚」「森内俊之の戦いの絶対感覚」「羽生善治の戦いの絶対感覚」が非常に勉強になるでしょう。