入玉大作戦−逃げるが勝ち!

駒を犠牲にして上部開拓・玉の捌き方・点数を意識した戦い方を解説
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評価:B
対象者:8級〜二段
発売日:2003年12月

MYCOM以外の出版社なら企画会議の段階でボツになったであろうと思われる超マニアックな企画本。『棋界唯一の入玉本』(MYCOM:談)とあるが、当たりまえだっつーの(笑)。

243ページ、見開きで局面図が4枚の全五章の構成となっています(間に入玉に関するコラムが3本あり)。

第一章 『入玉って楽しい!』 間違いのない勝ち方
第二章 入玉ならできる! 優勢から勝勢へ
第三章 入玉なら負けない!必敗から持将棋へ
第四章 この戦法には入玉がよく似合う!
第五章 現代の入玉大作戦

相矢倉戦は入玉になりやすい

第3章 入玉なら負けない!より 図は△6六歩まで
相矢倉の終盤戦を迎え、局面は先手が苦しいところ。▲7七桂△6七歩成▲8五桂と上部の開拓を目指すのは、以下△6六成桂▲同金△7七金▲9七玉△6六と、と駒得されながら上部を押さえられ先手勝てません。

ここでは▲97玉と早逃げをして、以下△7八歩成▲9五歩△6七歩成▲8五金と8筋・9筋を広くするのが正解です。矢倉戦の終盤における▲9七玉+▲9五歩は寄せにくい形ですので覚えておきましょう。

各章に15〜50の基本テーマ(1テーマにつき2ページ)があり、駒を犠牲にして上部開拓・玉の捌き方・点数を意識した戦い方、等の入玉戦法独特の解説がなされています。

定跡本や従来の終盤の手筋本とは違い、本書に出てくる形がそっくりそのまま実戦に登場することはないので、各テーマの『考え方』を汲み取るような感じで気軽に読んでいけばいいと思います。

ただMYCOM復刊文庫の『Zの法則−ゼったい詰まない終盤の奥義』と同様に、「目の付け所はイイ線いってるのだが、上手く法則化(システム化)仕切れずに中途半端な感」がなきにしもあらずです。編集者が同じだったりして・・・。

ケインの実体験としては、相矢倉と相振りが一番入玉形になりやすいです。

@居飛車・振り飛車の対抗形と違い、玉は上一直線の最短ルートでトライできる(対抗形は斜めにルートをとるので、相手の囲いが攻めの拠点になる)A攻めゴマが捌ける形=王様の上部の駒が少なくなる、がその理由と思いますので、矢倉党・相振り飛車を指す方・初手から入玉を狙っている方(!)は、一度本書に目を通しておけば参考になるかもしれません。

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