杉本昌隆:新相振り革命−相振り飛車の教科書

金無双から離れて、美濃囲いを中心に解説していきます
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評価:A
対象者:4級〜三段
発売日:2004年11月

相振り飛車の定跡化に先鞭をつけた杉本六段の代表著書である「相振り革命」の続編となります。前巻が文庫化(復刊)されてから「続編はまだか?」とやきもきしましたが、1年経ちようやく復刊と相成りました。

ただ、前巻とはページ数・構成も同じなのにシリーズ名を変えただけで(将棋文庫→将棋文庫SP)、100円値上げするのはどうなんでしょうか?

241ページ、見開きに局面図が4枚の全四章(二部)構成となっています。

まえがき
相振り飛車の基本 何故向かい飛車なのか? 何故四間が少ないか? 他

第一部 研究編
第1章 相三間飛車
第2章 △3三角戦法
第3章 先手向かい飛車+美濃囲い
第4章 向かい飛車vs三間飛車

第二部 実戦編
対桐山・小林(健)・野月・有森の計4局を自戦記風に解説。

前巻の『相振り革命』では先手の囲い=金無双・矢倉が中心の解説でしたが、本書では最近の傾向として多く見られる美濃囲いを中心に採り上げています。

杉本六段も解説で「金無双は囲いではない(=かなり弱い)」と言っていますし、鈴木八段も「金無双はいずれ消える」と将棋世界で書いていたのを記憶していますので、今後は美濃囲いが定着するのでしょう。

戦形では、前巻で掲載されていなかった相三間飛車・4手目△3三角からの後手向かい飛車・アマで一番指されているであろう▲向かい飛車vs△三間飛車・矢倉崩し、と相振り飛車を指す上で「これは知っておきたい」という部分をしっかりと押さえてあります。

全編に渡り「▲○○をしないで▲XXにしたのは〜だからである」・「ここでは▲〜としたくなるが、それは△〜で駄目」・「〜図は仮想図。怖いのはこのように居飛車にされること。」等のように、ページの文頭で手の解説・局面の分析がなされているので、読み手が符号(手順)だけを詰め込まされる事は無く、キチンと理解しながら読み進めることできます。

『相振り革命』とセットで読むに越したことはないと思いますが、単独で読んでも勉強になる一冊です。特に、これから相振り飛車を指してみようという方にオススメ。

巻末の解説(by古作登 週間将棋元編集長)によると「遠からず新刊として相振り革命シリーズの三冊目がでることになろうが・・・」とありますので、こちらも首を長くして待ちたいと思います。(出ました!→相振り革命3