杉本昌隆:相振り革命−相振り飛車の極意

このシリーズは名著の部類に入ります
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評価:A
対象者:4級〜二段
発売日:2003年6月

アイツが振るならオレも振る!』とピリッと辛いフレーズの帯がついた、相振り飛車定跡の定番本です。

最近でこそ小林健二・久保利明・鈴木大介各氏が相振り本や雑誌での連載を手掛けていますが、「力戦形の手将棋」と言われていたこの戦形の定跡化に先鞭をつけたのは、杉本六段だと思います。

第一章は「囲いの名称」〜相振り飛車で使われる囲いの解説。

例えば穴熊の紹介(9ページ目)は、『自分が三間飛車の場合によく指されます。横からの攻めには圧倒的に強いですが、端と2筋(8筋)が弱点。(中略)駒が偏るので角交換の将棋には不向きです』と、端的にその囲いのポイントをまとめてあります。

第二章「研究編」でいよいよ定跡の解説となります。

主なテーマは、矢倉vs金無双・矢倉vs穴熊・急戦穴熊崩し・後手矢倉対策・四間飛車vs三間飛車・後手5四歩型三間飛車・最新序盤戦術となっています。見開きで4枚の図面が入っているので、忙しい方は盤に並べずとも、無理なく定跡の勉強が出来ます。

第三章は「実戦編」で、杉本六段の相振り好局から5局ほどピックアップして、初手から棋譜付で解説されています(対森安・久保・若松・森安・有森の順番です)。

そして最後に、復習をかねた「次の一手」があります。

これから相振り飛車を始めてみたい、もしくは、相振り飛車をやってるけどいつも作戦負けになる、といった方にピッタリの定跡本だと思います。

「美濃囲い」での相振り飛車が載っていないのが、欠点といえば欠点ですが、そちらは続編となる「新相振り革命」「相振り革命3」を参考にされたら完璧だと思います。

また、新しい相振りの形や指しこなす上でのポイントを1冊にまとめた「藤倉勇樹:相振り飛車基本のキ」もタイトルに似合わず本格的な内容となっています。