小林健二:定跡 相振り飛車

杉本七段の著書のほうが解説が豊富です
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評価:C
対象者:8級〜二段
発売日:1998年1月

スーパー四間飛車でお馴染みの小林健二九段が相振り飛車の基本定跡を2冊に分けて解説した本です。続編も[続]定跡 相振り飛車でレビューしています。

将棋の本には古くても内容が色あせないものと、年数を経るとどうしても見劣りしてしまうものがありますが、本書はどちらかというと後者になってしまいます。

最近はあまり見ることのない相金無双からスタートする点や定跡解説の内容も杉本七段(弟弟子)の「相振り革命−相振り飛車の極意」と重なるのですが、「相振り革命」シリーズは相振り飛車特有の「考え方」に触れることが出来るのに対し、本書ではその辺がカバーされていないのが少し残念なところです。

全222ページで、見開きに図面が4つという構成になっています。目次は以下の通りです。

第1章 向かい飛車対三間飛車編
第2章 相三間飛車編
第3章 四間飛車対向かい飛車編
第4章 実戦解説編(小林九段の実戦から3局を自戦記形式で)

図1は△1三角まで

ただし、内容は古くても相振り飛車を指す上でおさえるべき基本手筋は同じですので、その辺りは本書でもきちんと解説されています。ただ、逆に言うとわざわざ本書を選ばなくても、藤井九段の近著「相振り飛車を指しこなす」シリーズや「相振り飛車 基本のキ」を購入したほうが最新定跡も学べるのでお得でしょう。

上の図は第一章で解説されている超有名な手筋です。▲6四歩△同歩▲6五歩△同歩▲6四歩と相手玉の「ド急所」に拠点を作ることが出来て、一丁上がりです。手筋の面では、対穴熊の金無双での端攻めの要領などが掲載されています。

第二章の相三間飛車はこちらも相金無双になっていますが、現在ではこの形にはならず、一工夫して美濃囲いに組めるようになっています。この辺は「相振り革命3」に詳しく掲載されています。

本書は基本形を浅く広くという内容ですので、将棋ファンの方なら「将棋世界」「近代将棋」「週間将棋」などの短期連載講座などで、自然にマスターしているものばかりだと思います。う〜ん、特に買う理由が見当たらない本ですかねぇ。