中飛車道場 第2巻 ゴキゲン中飛車本格急戦

飛車先保留で▲3六銀と出る「森下流」も登場
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評価:B
対象者:5級〜六段
発売日:2004年3月

前巻の「中飛車道場 第1巻 ゴキゲン中飛車超急戦」では玉を囲う前に大決戦へと突入する超急戦型がテーマでしたが、本巻では互いに玉を囲ってから戦いを始めるオーソドックスな急戦型を見ていきます。

▲3七銀〜▲4六銀と進出してゴキゲン中飛車の角頭を攻める作戦のほか、島八段の著書「島ノート 振り飛車編」でも紹介された(P200〜)、飛車先を▲2六歩のまま保留して▲4七銀〜3六銀と進出する「森下流」などが詳しく解説されています。

全219ページの9章構成で、見開きに盤面図が6枚配置されています。目次は以下のようになっています(▲居飛車△ゴキゲン中飛車です)。

第1章 基本図までの駒組み
第2章 △5四銀▲4六銀型
第3章 △4四歩△4三銀型
第4章 △8二玉型
第5章 ▲4六歩▲4七銀型
第6章 ▲6六歩型
第7章 ▲2五歩保留型△8二玉型
第8章 ▲2五歩保留型△3三角型
第9章 その他の▲2五歩保留型

後手の左銀の動きを封じる狙いの「森下流」

第8章 ▲2五歩保留型△3三角型より:図は▲3六銀まで
ここで△5六歩は、以下▲同歩△同飛▲4七金△5一飛▲4五銀△3五歩▲3四銀△4四角▲4五歩△6二角▲6八銀△5五歩▲4六金と進み先手優勢です。

序盤の△5四歩とゴキゲン中飛車を見せた手に対して、▲2五歩△3三角交換を保留することにより、後手の左銀の動きを制限しようというのが狙いです、

これら急戦策以外にも、居飛車が▲4八銀の状態で居飛車穴熊に囲う順も解説されていますが、こちらはゴキゲン中飛車側が△5四銀で5筋の位をガッチリとキープした状態で木村美濃に組み替えたり、あるいは穴熊で対抗します。進展性があり指し手に困らない後手陣に対して、待つ手しかない居飛車はド作戦負けになりやすいという結論になっています。

▲3六銀〜4五銀、▲7七銀〜6六銀と後手の攻め駒を目標に二枚銀で押さえ込む作戦は、深浦王位の「最前線物語2」のP79〜83でも詳しく解説されていますので、お持ちの方はそちらもご確認ください。

次巻の「中飛車道場 第3巻 ゴキゲン中飛車力戦」では居飛車の最有力対策と目される「丸山ワクチン」が解説されています。ただし、2004年当時のものですので、▲2二角成△同銀▲9六歩△9四歩に▲7八銀として、以下美濃囲い→高美濃→銀冠を狙う最新型ではありません。その辺は注意が必要です。