基本定跡マスター 定跡百科ワークブック Vol.1

居飛車・振り飛車の定跡を次の一手で復習します
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評価:C
対象者:12級〜3級
発売日:1992年7月

1980年代後半に出版された「中飛車ガイド」「穴熊ガイド」など「〜ガイド」シリーズ(全11巻)の復習用に作られた基本定跡の次の一手問題集です。

△四間飛車に対して▲居飛車が序盤で▲2五歩と突いたらどう受けるか(もちろん△3三角ですね)という初歩的レベルの問題から、駒組み完了後の仕掛け方など中級レベルの問題まで、50問が出題されます。

テーマとなっている戦法は相掛かり、横歩取り、角換わり、矢倉、四間飛車、三間飛車、中飛車、向かい飛車、奇襲戦法(鬼殺しなど)と非常に多岐にわたっています。

その分、各戦法に割かれているページは少なくなりますが、1問あたり3ページの解説(盤面図は6枚)が用意されていますので、単なる次の一手問題集で終ることなく、定跡のポイントをしっかりと学ぶことが出来ます。

△6五歩と仕掛けられる前に先制パンチ

第17問 相矢倉より:図は△7三桂まで
後手の4手角に対して先手は▲4六銀・3七桂戦法と呼ばれる攻撃力の高い布陣を敷きました。既に理想形ですので、△6五歩と来る前に先制パンチを浴びせます。正解は▲3五歩△同歩▲2五桂△2四銀▲3五銀と仕掛ける順となります。

以下、△同銀▲同角△3四歩▲6八角に△6五歩と反撃する手には、▲3三歩が急所への一撃で、△3三同桂に今度は薄くなった一筋へ向けて△1三桂成と攻撃を続行します。以下△同香▲1四歩△同香▲同香と端を破って先手よしとなります。

この「桂の逆モーション」は以前レビューした「手筋の達人 矢倉の手筋が満載」にある盤面図と同じ手筋です。頻出ですので、知らなかった方は是非覚えて帰ってくださいね。

問題図の下には簡単なヒントと候補手の選択肢(2択or3択)が掲載されています。ただし、先手が居飛車穴熊を目指す手に対し、後手が△5四銀と出てきた場合の正解手が▲7八金で、ほとんどの方が指すであろう▲6六歩の選択肢が「消極的」として正解にならない点など、アレレな箇所も見受けられます。

掲載されている全部の戦法を勉強したい方でないと読まない章が出てきますので、無理に一冊にまとめる必要はなかったのではないでしょうか。
本書は「定跡百科ワークブック」の第一弾ですが、シリーズ次巻からは一つの戦法に絞って出版されましたので、なおさらその感が強くなります。

本サイトではこのシリーズの「穴熊マスター」「中飛車マスター」「三間飛車マスター」の3冊をレビューしていますので、そちらも参考にしてみてください。

近年出版された棋書では深浦王位が監修した「フィードバック方式 定跡次の一手」がなかなかのできになっていますので、そちらのページも参考にしてみてください。