高田尚平:高田流新感覚振り飛車破り

相振りが嫌いな人にとっては強力な助っ人になります
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評価:B
対象者:5級〜四段
発売日:2000年9月

島ノート 振り飛車編」で紹介されている「高田流逆棒銀」など、序盤の研究家として知られる高田六段による振り飛車破りの本です。

「なにがどう新感覚なんだ?」とタイトルを見て思う方も多いことでしょう。まずは、百聞は一見に如かずということで下の盤面図をご覧ください。これが知る人ぞ知る高田流振り飛車破りの一つ「左玉」です。

対穴熊における左玉の完成図です

本戦法は1990年代後半から高田六段「だけ」が指していたオリジナル戦法で、新人王を獲得した関西の若手・糸谷四段が愛用している対振り飛車の右玉の逆バージョンのような感じですね。

この戦法は居飛車党だけではなく、相振り飛車を指さない(もしくは嫌いな)振り飛車党の方にもオススメしたい戦法で、僕も相振り飛車を勉強するまでは、この戦法一本でした。

これは後手が穴熊ですが、金無双や美濃囲いに対しても当然使えますし、相手が右辺に手を出してきたときに入手した歩で8筋から継ぎ歩してもいいですし、穴熊なら▲8五桂からの端攻めもあります。

さらに、序盤で角交換を拒否された場合なら、▲6六角(もしくは▲5七角)と攻防の好位置に角を据えることも出来ます。

ネット対局場の「将棋倶楽部24」を観戦する限り、この戦法を指しているのはほんの限られた人だけです。指す人が少ないということは相手の対策も不十分のケースが多いので、短い時間の将棋だと相手の隙を突きやすいというメリットもあります。

既に絶版になっており入手することは困難ですが、ブックオフなどを覗いて本書の生存(?)を確認できた場合には、是非ゲットしてみてください。

ちなみに、以前レビューした「[続]定跡 相振り飛車」が他では唯一、この左玉戦法を解説している棋書となっています。