四間飛車道場 第15巻 藤井システム破り

▲3六歩は勝又六段がいうところの「スレッドカード」
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評価:B
対象者:5級〜六段
発売日:2004年2月

シリーズ第六巻の「最強1二香編」で、急戦は一区切りの感があった『四間飛車道場』ですが、第15巻の本書では対藤井システムにおける急戦を解説してあります。

サブタイトルの「藤井システム破り」とは、居飛車側が右側の銀を5七に上げて、次に▲3六歩と△6二玉の交換を入れてから、即仕掛ける急戦形をさしています。

2003年度の名人戦第3局(羽生善治−森内俊之戦)で注目を浴びた形ですので、ご記憶の方も多いと思います。

219ページ、見開きに局面図が6枚の全六章構成となっています。

第一章 基本図までの駒組み
第二章 ▲3五歩急戦▲4六歩型
第三章 ▲3五歩急戦▲4六銀型
第四章 その他の▲3五歩急戦
第五章 ▲4六銀型 対 △3二金型
第六章 △3二銀型 対 ▲3五歩急戦

急戦としてはやや特殊な形に入ると思いますが、従来の形と同様に細かい手を繋いで、少しずつポイントを積み重ねていく姿勢が求められていますので、青野照市九段のスタイルが好きな方は、無理なくこの戦形に入っていけるでしょう。

また、前書きに『現代将棋は序盤の進歩が著しく、何か一つの戦法だけでは通用しにくい時代になっています。居飛車穴熊だけにとらわれず、隙あらば急戦でいく本書の指し方も体得して、序盤の幅を広げていただけると(以下略)』とあるように、持久戦派の方も一読すれば参考になると思います。

ページ内の解説図面が多いとはいえ、難易度が高めの作りになっていますので、本書を参考にする際は、盤と駒を使って並べる必要があるでしょう。

シリーズは次巻の「四間飛車道場(第16巻)右四間飛車」をもって完結となります。