石田和雄:三間飛車 復刻版

先手居飛車急戦を解説しています
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評価:C
対象者:5級〜二段
発売日:2002年2月

本書は1979年に出版された同タイトルの復刻版です。名前からすると三間飛車党を対象とした棋書のように思われますが、中身はオーソドックスな急戦定跡を居飛車有利になるように(笑)解説した「三間飛車破り」です。

前書きに「従来の定跡と重なる部分が多い」とありますが、元は30年近く前の本ですので初見の形も多く見られました。表紙は豪華(木本書店の将棋の本の特徴)ですが、中身は当時のままですので、注意が必要です。

全452ページの大型サイズ、見開きに盤面図が2枚となっています。目次は以下の通りです。

第1章 5三銀型
第2章 4三銀型
第3章 4二銀型(△3二飛)
第4章 4二銀型(△2二車)
第5章 先手三間飛車
第6章 石田流三間飛車(急戦・升田式・持久戦) 第7章 自戦記(対大山十五世名人ほか計3局)・次の一手

お馴染みの定跡形です

第4章 △4二銀型三間飛車に対する早仕掛けより:図1は▲4六銀まで
本書ではこの局面から△5四銀▲5五銀△同銀▲同角以下の手順が詳しく解説されていますが、そこから△4三金▲8八角△4五歩▲5五銀△4四銀▲同銀△同金〜と進み、その後▲1五桂と打つ現在の最新定跡は全く触れられていません。

△4三銀型の三間飛車があまりみられない現在、△4二銀型三間飛車に対するこの早仕掛けの手順は是非とも覚えておきたい定跡ですので、昔の棋書では当然不十分となってしまいます。

また、巻末に用意された「次の一手」問題の解答も、正解手がポツリと一手記入されているだけで、解説は「〜ページ参照」と講座編のページをいちいち開きなおさなければならないという不親切な構成です。

せっかく復刻版として出版するなら、こんなところまで初版と同じにしなくてもいいですし、1章くらいは前述の最新定跡を基にした書下ろしがあってもよかったと思います。

本書の内容は古く、また高価なこともあり、棋書コレクターの方以外にはあまり必要がないでしょう。居飛車の立場で対三間飛車の急戦をテーマにした本には加藤九段の「加藤流 最強三間飛車撃破」、逆に三間飛車側から見た対居飛車急戦の本には中田(功)六段の「コーヤン流三間飛車の極意 急戦編」が良書となっていますので、そちらで勉強した方がよいと思います。