勝又清和:新手年鑑 Vol.2

著者は「最新戦法の話」でお馴染みの勝又六段です
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評価:A
対象者:8級〜四段
発売日:1996年9月

新手年鑑 Vol.1」に続くシリーズ第二段で、1995年の公式戦で飛び出したプロの新手や流行戦型を解説していきます。著者が島八段から「消えた戦法の謎」でお馴染みの勝又六段にバトンタッチとなっています。

表紙は変わっていませんが、レイアウトには大幅な変更が加えられています。まず、見開きの盤面図が4枚から6枚に増量され、解説も盤面図の下から横へ移動しました。また、新手には「!」マークが付いているので、どの手で従来の定跡から離れたのかが一目でわかるようになっています。ページの下には大きな太字で『第26図の△5三金が窪田流棒銀対策』とキャプションが記されています。

全222ページで戦型の方は前巻に比べて振り飛車が30ページほど割り増しになっています。これは左美濃と居飛車穴熊に対する「藤井システムが」登場によるもの。目次は以下の通りです。

1章 横歩取り
相横歩取り(北浜新手)/ △中原流 / △3三角型相中住まい / その他の横歩取り

第2章 振飛車
左美濃 / 玉頭銀 / 新鷺宮定跡 / 棒銀 / 居飛車穴熊の攻防

第3章 矢倉
脇システム / 後手番矢倉の挑戦

第4章 角換わり
▲加藤流棒銀 / △6五歩位取り

第5章 相掛かり
早繰り銀 / 新塚田スペシャル

左美濃から袖飛車への対抗策は? 第2章 振飛車 第1節 忍者流左美濃より ▲屋敷△羽生:図は△8三銀まで
▲3八飛の袖飛車からの3筋交換に対して、羽生王座は左辺放置で△6三金から8三銀としました。以下▲3七桂に△8二飛と左美濃の玉頭に狙いを定めるのが羽生王座の新構想。以下▲3四歩△2二角▲4五桂に△8五歩▲同歩△8六歩▲同玉△75歩▲同歩△9五歩▲同歩に△7四銀と歩頭に銀を捨てて、強引に△8五飛をみせます。

上図のように、「おお、これは斬新な手だ」と一目でわかるような局面はそれほど多くないので、ある程度の定跡を知っておいた方がよいと思います。

著者の勝又六段は、最新戦法の生まれた背景、進化の様子をわかりやすく解説した「最新戦法の話」も著していますので、そちらのページも参考にしてみてください。