谷川浩司:光速の寄せ Vol.5 寄せ手筋総集編

次の一手問題は自玉と相手玉との兼ね合いがポイント
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評価:B
対象者:5級〜四段
発売日:1996年12月

前巻「光速の寄せ Vol.4 必勝!矢倉応用編」では、矢倉攻略の代表的な寄せのパターンを見ていきましたが、シリーズ最終巻となる本書は1〜4巻までの総決算となっています。

全222ページの3章構成で「次の一手問題」は1問に2ページで解説には盤面図が2枚配置されています。

第1章 基礎知識確認編
第2章 次の一手総まくり編
第3章 実戦次の一手編

詰めろ逃れの詰めろを発見できるかどうか

舟囲いでの居飛車急戦vs美濃囲いでの終盤戦。▲7一角△8四玉▲7五銀△8五玉と形を決めるだけ決めておいてから、▲7七玉が「詰めろ逃れの詰めろ」となり先手勝ちとなります。初手に▲7七玉もありそうですが、そうすると△7一銀と「敵の打ちたいところに打て」の手筋返しが飛んできて粘られますので注意です。

この手筋はかなり有名で、青野九段の「読むだけで強くなる終盤のコツ130」をはじめ、多くの寄せの本で採り上げられています。

まず、冒頭で詰めろ、必至、手数計算(二手スキ、三手スキ)などの寄せの基本を軽いジャブ程度に復習してから、「次の一手総まくり」と題して、これまで学んだ囲い崩しを次の一手形式の問題(45問)でチャレンジしていきます。

この問題では相手玉だけでなく、自玉も配置されているので、彼我の寄せのスピードを見極めなければなりません。当然、受けの手も考える必要があります。出題レベルは「2級〜5段」と解説されていますので、将棋倶楽部24の棋力なら恐らく上記の基準で大丈夫だと思います。

全巻そろえると5000円掛かるのでコストパフォーマンスとしてはどうかな、という気がしますので、先に本書を見て自分に合っていると思ったら、自分の愛用戦型にあった巻だけを選ぶのが賢明かもしれません。振り飛車党なら第3・4巻の矢倉編は必要ないですからね。

谷川九段は「谷川流寄せの法則」も著しており、「どんな持ち駒の組み合わせなら相手の玉は詰むのか」を七択で出題するという新しい試みの寄せの本となっています。また、谷川九段の大局観を勉強したい有段者の方には「谷川浩司の戦いの絶対感覚」がオススメですので、そちらのレビューも参考にしてみてください。