小林健二:[続]定跡 相振り飛車

対振り飛車の左玉戦法も掲載されています
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評価:B
対象者:8級〜二段
発売日:1999年10月

既にレビューしている「定跡 相振り飛車」の続編となっています。出版された時期がそれほど違わないので、掲載されている定跡や内容もほぼ同じとなっていますが、対振り飛車の「左玉戦法(下の図を参照)」が40ページもわたって解説されています。

全222ページで、見開きに図面が4つという構成になっています。目次は以下の通りです。

第1章 金無双編(後手4三銀型 後手5三銀型ほか)
第2章 相振り矢倉編(矢倉VS金無双 矢倉VS矢倉ほか)
第3章 穴熊攻略最新型編(穴熊対策左玉型)
第4章 美濃囲い編(美濃囲いVS矢倉)
第5章 実戦解説編(自戦記形式で三局)

図は△5四銀まで

この左玉戦法は僕もたまに採用するのですが、図のような穴熊相手だけではなく対美濃や金無双にも十分通用します。狙い筋はともに共通していています。
僕のレベル(24で2段上位くらい)だと、大抵の相手が2、3筋の歩を手持ちにして、△44角から1筋の垂れ歩で端の突破を狙ってきます。

自玉と反対側での戦いですので、無理に突破を防ごうとせずに、そこで得た歩と桂馬などを使って、相手玉頭への垂れ歩や端攻め(9筋)に利用して、カウンター攻撃を仕掛ける、という具合です。
頻繁に見かける戦法ではないので、ネット対局などではなかなか有効だと思います。ただし、相手が自重すると千日手モードに入りやすいという欠点もあります。

この戦法は高田六段の著書「高田流新感覚振り飛車破り」でさらに詳しく解説されているのですが、既に絶版になっていますので、そういう意味ではこの本の第3章の部分だけは貴重かもしれません。

矢倉闇の囲いでの戦い方を解説する章は、前作のレビューでも書いたのですが、藤井九段の「相振り飛車を指しこなす本」シリーズや杉本七段の「相振り革命」シリーズのほうがわかりやすく、掲載されている定跡も詳しいので、そちらをお薦めします。