谷川浩司:光速の寄せ Vol.3 矢倉崩し初級編

応用編とあわせてどうぞ
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リンク先は現在も入手可能な文庫復刻版に変更しています。

評価:B
対象者:10級〜三段
発売日:1996年3月

前巻「光速の寄せ Vol.2 振り飛車で勝て!」までは、居飛車対振り飛車の対抗形で現れる囲い屑氏がテーマとなっていましたが、本書では矢倉崩しを見ていきます。

対抗形の場合は相手の玉の上部にこちらの陣形が壁として存在しているので入玉模様になることは少ないですが、矢倉の場合は攻めが頓挫すると、玉の上部から一直線で入玉を狙われてしまうケースが少なくありません。

ですので、初級編となる本書と応用編の次巻(難易度はあまり変わりません)で矢倉崩しのコツを身につけて、序・中盤でのリードをしっかりと最後まで生かせるようにしましょう。目次は以下の通りです。

第1章 基礎知識編
第2章 光速の手筋編
第3章 光速の即詰み編
第4章 実戦次の一手編
第5章 矢倉くずし・実戦編

先手矢倉の理想形です

先手の持ち駒は1歩しかありませんが、この陣形は矢倉崩しにおける理想とされており、▲4五歩△同歩▲4四歩△同銀▲4五銀△同銀▲4四歩△5三金(もしくは△3三金)▲4五桂で先手よしです。

2度目の▲4四歩がポイントで、この手に代えて▲4五桂と銀を取るのは△4四歩で単なる歩損で終ってしまいます。角の利きを利用して、一度▲4四歩と拠点を作った後に▲4五桂と銀を取り返せば、金取りにもなっており後手矢倉の守備力はガタ落ちです。

ちなみに先手にもう一枚歩があれば、▲4五桂の金取りの際に△5二金と逃げても、▲4三歩成△同金右に再度▲4四歩で金が死にます。この成捨てパターンは頻出ですので「金は斜めに誘え」という格言と併せて覚えておきましょう。

初級編となっていますが、光速の即詰み編の問題は「アマ四段クラス」と記されている問題も有りますので、有段者の方は序盤は復習で、ここからが本編と思ってもらっても構いません。

囲いの崩し方以外にも矢倉戦頻出の手筋を勉強したい方には武者野六段の「手筋の達人 矢倉の手筋が満載 」、飯塚六段の「分かる・役立つ速効!矢倉の手筋」などがオススメです。特に「手筋の達人〜」は文庫サイズで400ページあり、繰り返しの勉強にも最適です。

シリーズ次巻となる「光速の寄せ Vol.4 矢倉応用編」でも、引き続き矢倉崩しを解説しています。