谷川浩司:光速の寄せ Vol.2 振り飛車で勝て!

舟囲い・銀冠・居飛車穴熊の攻略に必要な手筋を伝授
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評価:B
対象者:10級〜三段
発売日:1995年9月

第二巻の本書では「光速の寄せ Vol.1 振り飛車破りの巻」と逆の立場となり、読み手の振り飛車側が、いかにして船囲い・左美濃・銀冠・居飛車穴熊を攻略するかを基本手筋・実戦形詰将棋・実戦譜を交えて紹介してあります。

222ページ、右ページに問題図が2枚、次項右側にその解答図が2枚(詰将棋の章は問題1枚に解説図2枚)という作りになっています。全四章構成。

この舟囲いをいきなり詰まします

図は光速の即詰み編より
正解は▲2四桂△3一玉▲3二歩△同金▲同桂成△同玉▲2二飛△4一玉▲3二金△5一玉▲4二金△同金▲同飛成△同玉▲5四桂△5三玉▲6四金△5二玉▲5三銀△5一玉▲6二桂成△4一玉▲5二成桂△3一玉▲4二成桂までの25手詰めです。

第一章 基礎知識編 居飛車の囲いの紹介・弱点の解説
第二章 光速の手筋編 全60問
第三章 光速の即詰み編 全20問
第四章 振り飛車で勝て!・実戦編 対羽生・中原・郷田戦他 全10局

第二章で紹介されている手筋は・・・

対船囲い
▲4一飛成から急所の金を剥がして▲2二金と縛る手筋
▲3三香といきなり打つ手筋
▲2二角(△同玉は▲4一飛成)の手筋
飛車を手持ちにして▲1五歩から端攻めの手筋(▲1二飛狙い) 他

対左美濃
▲3五歩△同歩▲3四歩と角筋を使ってウサギの耳(3四の地点)を狙う手筋 ▲2五歩の玉頭攻め
▲3五歩△同歩▲3六歩(△同歩は▲3五桂)と拠点を作る手筋 他

対居飛車穴熊
角筋を通して、▲1三桂成以下、端に殺到する手筋
▲1四歩△同歩▲1三歩△同香▲2五桂の手筋
一段飛車から▲2六香の手筋(▲2三香成△同銀▲3一飛成狙い)

と非常に基本的なものが多いです。

第三章では対船囲い・左美濃の終盤を想定した実戦形の詰将棋が20題ほど出題されていますが、アマ3級〜五段が対象の目安となっているために難易度が前章に比べてグッと上がってきます。

四章は谷川棋王の実戦から中盤をテーマ図として以下の進行を自戦記風に解説してあります。(巻末に初手からの棋譜を掲載)

本書は寄せのエッセンスを様々な角度からアプローチしている好著だとは思いますが、読み手の棋力をどのへんに念頭において作られたか少し混乱します。

第三章を読む人にとっては、第一章はほとんど必要ありませんし(その逆も然り)、基本手筋の習得にはもっと多くの問題(パターン)が必要ですので、二章だけだと「新たに習得」というより既に知っている人の「確認用」といった感じになってしまいます。

戦形別に5冊(5冊目は総集編なので実際は4冊)に分けるのではなく、難易度別に分けたほうが、対象棋力にあった問題を多く出題できるので良かったと個人的には思います。

居飛車対振り飛車の対抗形における囲い崩しはこの巻までで、次巻の「光速の寄せ Vol.3 矢倉崩し初級編」からは矢倉の崩し方を見ていきます。