奇襲!!将棋ウォーズ (屋敷伸之の忍者将棋)

対策も掲載されているのがGood
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評価:B
対象者:8級〜初段
発売日:1992年1月

従来の「筋違い角」や「鬼殺し」などの典型的な奇襲戦法にアレンジを加えたものをはじめ、後年、升田幸三賞を受賞することになる「立石流」、ネット将棋でも愛用者の多い「鳥刺し」まで、各戦法の狙い筋・指し方を初手から解説しています。

著者は「奇襲大全」をはじめ数々の棋書を手がけている湯川博士さん。監修は屋敷九段が担当していますが、屋敷さんの将棋や文章は登場することはありませんので、ファンの方はご注意ください。

全206ページの3章構成で、見開きに盤面図が6枚配置されています。ページの上半分に実際の進行手順と盤面図が2枚、下半分に解説と参考図が1枚といった形式です。目次は以下の通りです。

第1章 奇襲戦法カタログ
鬼殺し / 坂田流向かい飛車 / 中飛車ヒラメ戦法 / 児玉流カニカニ銀戦法 / アヒル空中戦法 / 吉田スペシャル / 急戦早石田…ほか(この章のみ1戦法1ページ)

第2章 空爆急襲作戦
新鬼殺し / 鳥刺し / 新原始中飛車 / 袖飛車 / 筋違い角 / 玉頭銀…ほか

第3章 正面撃破上陸作戦
立石流四間飛車 / かまいたち / 角交換変則四間飛車…ほか

スペースがあるにも関わらず第2・第3章の目次で「…ほか」と書いているのは戦法の説明が難しいからです(笑)。わかりやすい戦法名なら掲載しますが「空挺四間飛車上陸作戦」とか「対中飛車・谷川式光速銃」などは、逆に混乱しそうなので省略させていただいた次第です。

角道を開けないのがポイントです

第2章 空爆急襲作戦 ピンポイント鳥刺し爆弾より:図は▲7九角まで
角道を開けずに角を引くのが大きな特徴で、角と銀のコンビで2・3筋に照準を合わせます。以下△4五歩なら▲3五歩△同歩▲4六歩△3四銀▲4七銀として、次に▲4五歩〜4六銀の二枚銀活用を狙います。

まず冒頭で「ウォーズシーン」と題したハイライト的な局面図を掲載して、これから紹介する奇襲戦法がどういったものなのかを視覚的にわかりやすくしています。

その後、本編ともいえる講座がスタート。初手から駒組みの注意点・狙い筋を解説して、仕掛けが成功したところで一段落となります。

通常の本はここで終了ですが、本書では全ての戦法ではないものの、「奇襲封じテクニック」というコーナーを用意して盤面図3枚を使って、テーマとなっている奇襲戦法への対策を紹介しているのはいい試みだと思います。

巻末の参考文献の欄を見ると冒頭で触れた「奇襲大全」、本書と同じ高橋書店から出ている「超急戦!殺しのテクニック」、鈴木英春氏の「必殺!かまいたち」をはじめ、有名の奇襲本が記されていますので、これらの本をお持ちの方は改めて読む必要はないでしょう。

より実戦的な本を読みたい方には豊川七段が講師を務めた「NHK将棋講座」の内容を単行本化した「パワーアップ戦法塾」などがオススメです。