三浦弘行:三浦流右四間の極意−四間飛車をやっつけろ

NHK将棋講座の書籍化となります
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評価:A
対象者:7級〜二段
発売日:2002年5月

平成8年度の棋聖戦で、タイトル独占状態だった羽生七冠王の牙城を切り崩して一躍スターダムに伸し上がった三浦八段の処女作です。

本書は平成11年の『NHK将棋講座』4〜9月号に掲載された「三浦弘行の速攻!振り飛車破り右四間完全マスター」を加筆・再構成したものです。

構成は220ページで見開きに局面図が4枚。右四間飛車の狙い筋が、居飛車側の各囲い別に分かりやすく解説されてあります。

第一章は『右四間の基本型』 居飛車側がオーソドックスに▲2六歩を突いた形での右四間飛車を船囲い・左美濃・銀冠(米長玉)・居飛車穴熊の4パターンに分けて解説。

第二章は『飛車先不突右四間飛車』 飛車先を突かないで▲4六歩として、一手早く右四間飛車の態勢に組み上げる形を解説。囲いは船囲い・左美濃・銀冠(米長玉の)の3パターン。

第三章は本書の骨子となる『飛車先不突右四間飛車+居飛車穴熊』。一・二章が右四間飛車の狙い筋・振り飛車の最善の受けを、深い変化を省いて軽く解説されていたのに対し、この章は本書のメイン戦法の解説となるためか、終盤のかなり突っ込んだ変化まで手順が挙げられています。

第四章は『飛車先不突・序盤の重要変化』として後手が序盤早々、△4五歩として乱戦に持ち込む形・△5三銀と右四間飛車に備える形の紹介。

第五章は『実戦編』と題して、三浦九段の右四間飛車(もしくは対右四間飛車)の実戦を自戦記風に4局ピックアップ(対加瀬・堀口・先崎・小倉戦を初手から)。

全体的に右四間飛車の成功例・失敗例を分かりやすく解説してありますが、バリバリの有段者にとっては第一・二章は物足りない内容かもしれません。

仕掛けの形が難しくないので、居飛車党で対四間飛車の得意戦法を見つけたい級位者の方にオススメしたい一冊です。

さらに詳しく右四間の定跡を勉強した有段者の方は「四間飛車道場(第16巻)右四間飛車」などを参考にするとよいでしょう。

なお、「NHK将棋講座」の単行本化で対四間飛車をテーマにしたものは「木村一基の急戦・四間飛車破り」があります。急戦党の方はそちらも参考にしてみてください。