藤井猛:四間飛車を指しこなす本 Vol.3

対左美濃、玉頭位取り、5筋位取りを解説しています
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評価:A
対象者:8級〜四段
発売日:2000年6月

藤井猛九段の「四間飛車を指しこなす本」シリーズの完結巻です。前巻「四間飛車を指しこなす本 Vol.2」で学んだ基本をもとに、いよいよ藤井システムの応用を身につけよう、というのが本書の目的です。

内容は、@藤井システムの応用編、A対左美濃、B対5筋位取り、C対玉頭位取りの4章で構成されていて、それぞれに藤井九段の研究に基づく解説が、一問一答式で載っています。

また、前作と同じく各章末にチェックポイントがあり、その章で学んだことが身についているかを、確認することができます。

この本のセールスポイントも、やはりこれまでの2作品と同様に、左右のページに天地さかさまで問題が印刷されているため、内容が豊富であることです。本書では、相手の細かい変化に、正確にかつ柔軟に対応できる感覚を学ぶことができます。

ただ、本書の藤井システムの部分は、第2巻の基礎編をしっかり理解していないと、なかなかその感覚がつかみにくい部分があります。また、藤井システムに対する居飛車側の対策も、目覚しい進歩を遂げており、若干駒組み等内容が古くなってしまっている部分もあります。

残りの章も、居飛車側の戦法としては、近年あまり採用率の高い戦法ではありません(ただし、どの戦法に対しても基本は押さえておかないといけないので、やる価値はもちろんあります)。

第4章 対玉頭位取りより:図は△2四歩まで
前巻のレビューで紹介した手筋と同じパターンの問題を選んでみました。正解は▲7二歩です。△同飛は▲8五飛△8二歩ですが、▲3六歩△同歩▲3五歩△同銀に▲6四歩が3五の銀取り+と金作りをみせて先手よし。▲7二歩に△6二銀なら▲6四歩△同歩▲4五歩と右辺から反撃します。振り飛車側は▲7一歩成△同銀と成り捨てることによって、いつでも銀を遊び駒にすることができます。

この本は、四間飛車を指しこなす本の第2巻を読まれた方にオススメです。藤井システムに興味をもたれた方や、その他の章にでている居飛車の戦法への対策を身につけたい方には、大変参考になる本だと思います。

なお、本書を読み終えて、更に四間飛車を勉強してみたい方には同じく藤井九段の「四間飛車の急所」シリーズがオススメです。(投稿:Shigekun二段)