藤井猛:四間飛車を指しこなす本 Vol.1

対急戦の基本定跡を学べます
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評価:S
対象者:10級〜2級
発売日:2000年3月

四間飛車党の第一人者である藤井猛九段が、四間飛車の感覚とパターンを学べるように、駒組みから終盤の局面まで、一問一答式で著わした四間飛車党のバイブルともいうべき一冊です!

内容は居飛車急戦編で、1.斜め棒銀、2.早仕掛け、3.山田定跡、4.棒銀、5.矢倉引き角の5つの他に、出現頻度の高い終盤の手筋等が載っています。

斜め棒銀における必修手筋

問10 斜め棒銀より:図は△7二飛まで
この局面では、銀取りに構わず強く▲6五歩と突くのが定跡化された一手となります。対して△7六飛と銀を取るのは、▲2二角成△同玉に▲7六飛と飛車を素抜くことができます。駒を挟んで、互いの飛車が向かい合う状態は常に注意が必要です。

したがって、△7六飛に代えて△7七角成とし、以下▲同飛△5三銀▲6七銀△7七飛成▲同桂と飛車交換となるのが定跡となっています。本書では以降の手順から寄せまでを掲載しています。

本書のセールスポイントは、左右のページに天地さかさまで問題が印刷されているため、内容が豊富であることです。実際に読み込んでみるとわかりますが、本当によく出てくる局面が多いです。

特に級位者の対局では急戦が多いので、自分の知識を一つ一つ確認しながら、定跡の勉強ができるこの本は永遠の名著です。

最近は定跡の進歩も目覚しいために、若干結論の変わった部分(早仕掛けの郷田新手)や載ってない変化(飛車先突き捨て型斜め棒銀)等もありますが、それらを差し引いても四間飛車党には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。そういったマイナス点も考慮した上で、あえて評価はSをつけたいと思います。

なお、対居飛車穴熊における画期的な戦法としてアマチュアにも人気の高い「藤井システム」の解説は、続編となる「四間飛車を指しこなす本 Vol.2」で解説されています。(投稿:Shigekun二段)