櫛田陽一:世紀末四間飛車 先手必勝編

前巻から3年経ち定跡も変化しました
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評価:B
対象者:5級〜四段
発売日:1994年9月

世紀末四間飛車 急戦之巻」、「持久戦之巻」の2冊で一度完結した「世紀末四間飛車」シリーズですが、3年の月日を経て対急戦の先手四間飛車をテーマに再び刊行されることになりました。

櫛田六段の著書はこれ以降、2007年の現在に至るまで発売されていませんが、雑誌「近代将棋」に連載中の四間飛車講座にお世話になっている方も多いと思います。

全222ページの講座・自戦記・復習問題の3部構成で、見開きに盤面図が6枚配置されています。この辺りはシリーズ前2巻と同じですが、本のサイズが小さくなって、一般的の棋書の大きさになっています。目次は以下の通りです。

第一部 講座編
第1章 △6五歩早仕掛けをつぶせ
第2章 △6四銀戦法(左銀)には負けない
第3章 棒銀戦法は怖くない
第4章 △5三銀急戦(右銀)なんてポイ!
第二部 実戦編(対中原十六世名人、森下卓九段、中田功六段など計6局)
第三部 次の一手編 次の一手問題

△6五歩早仕掛けでの変化

第1章 △6五歩早仕掛けをつぶせより:図は△8六飛まで
ここで▲3五歩と玉頭に手を付けるのが、後手の4一金の形の弱点を突いた急所の一手。▲3五歩に代えて▲8五飛とぶつける手は、△同飛▲同桂△8九飛▲6三歩△5一銀▲7三桂成△6六角と急所に飛車角を利かされて居飛車不利となります。

「急戦之巻」では四間飛車側は全て後手番でしたが、本書ではタイトル通りに全て先手番となっています。上図の▲3五歩のように当時は知られていなかった、櫛田六段の研究手が随所に見られており、出し惜しみのない一冊と言えます。

近年は、藤井九段の著書「四間飛車の急所」シリーズをはじめ四間飛車の良書が多く出版されていますので、本書でなければわからない定跡などは出てきませんが、将棋倶楽部24で四段くらいまでなら今でも十分に参考になると思います。