窪田義行:窪田流四間飛車2 撃退!右四間

対袖飛車戦法における戦い方も解説
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評価:C
対象者:8級〜二段
発売日:1999年12月

「振り飛車新世紀」シリーズの最終巻は、第1巻「窪田流四間飛車1」の窪田六段が再び登場し、我々アマチュアに人気の右四間飛車戦法の対策を解説していきます。

また、厳密には右四間飛車ではありませんが、飛車先不突きで△7四歩から△7二飛とする袖飛車戦法も解説されています。さらに、当時は居飛車穴熊を警戒し、四間飛車側が早めに▲1六歩〜1五歩と突く指し方(いわゆる藤井システムの出だし)が流行していました。居飛車側がこの2手を見て穴熊を放棄し、袖飛車にする形も紹介されています。通常の対袖飛車に比べて、端に2手掛けた分がどのように影響していくかを比較していきます。

全223ページで講座編と自戦記の2部構成、盤面図は見開きに4枚配置されています。

第1部 定跡編
撃退!右四間(舟囲い、銀冠+米長玉、居飛車穴熊)
対飛車先保留△7二飛急戦

第2部 実戦編
▲4五銀の功罪―対後手加瀬純一五段
急戦の可否は―対後手加瀬純一五段
大混戦を制す―対後手鈴木輝彦七段
大山流にしてやられる―対後手中座真四段
さばき切れずに敗れる―対後手野月浩貴四段

桂馬が攻めに参加していませんが侮れない形です

対右四間急戦:図は▲5六銀まで
オーソドックスな舟囲いからの急戦です。居飛車の桂馬が攻めに参加していませんが、攻撃力は強力ですので受け方を間違えるとつぶされてしまいます。以下△6五歩▲同歩△8八角成▲同飛△6五銀に▲6八飛と回るのが四間飛車の常套手段で、△5六銀なら▲6二飛成△同金▲5六歩となると玉の固さの違いで先手よしとなります。

したがって、▲6八飛には△6六歩と飛車先を止めます。以下は▲6五銀△同飛▲5六銀△8五飛▲6六飛△8七飛成▲6一飛成△8九龍▲5五角△3三角▲9一角成△9九角成▲6三歩が変化の一例ですが、最後の▲6三歩と垂れ歩でと金作りを目指す狙いは頻出ですので、覚えておきましょう

居飛車側の囲いは上図の舟囲い以外にも、銀冠や居飛車穴熊などもカバーされており、右四間の基本定跡は一通り学べるようになっています。ただし、後半が自戦記で占められていますので、枝葉の変化には抜け落ちているところが多々あります。

第1弾の「窪田流四間飛車1」と違い、『これが窪田流の指し方だ』という手は出てきませんので、通常の定跡書として読むにはかなりボリューム不足です。このあたりは「四間飛車道場(第16巻)右四間飛車」などで補ってやる必要があります。

また、四間飛車側はほとんどの形で▲5六銀と腰掛銀にする従来の受け方が中心となって解説されています。この形は居飛車側から見ると、途中で反撃もなく銀冠から米長玉と固めることができ、理想形が整ったところで仕掛けることが出来るので、手待ちが続く四間飛車より主導権を握ったまま戦うことが出来ます。

四間飛車側はこの腰掛銀型にするよりも▲6七銀型の方が柔軟性があります。また序盤の▲7七角も不急の一手で、△8五桂が当たりとなるので攻めの目標となりますし、四間飛車から▲7五歩〜7八飛のカウンターもなくなってしまいます。

そこで、近年は▲8八角・7九銀の「居角・居銀」で待ち、居飛車側の出方次第で▲7七角と上がったり、▲7八銀・6七銀とするのが最強の構えとされています。こちらの形を勉強したい方は藤井九段の「四間飛車の急所 Vol.1」を参考にすると良いでしょう。