四間飛車道場 第11巻 居飛車穴熊

イビアナに組ませて戦うオーソドックスな定跡を紹介
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評価:B
対象者:5級〜六段
発売日:2003年6月

第7巻から四間飛車穴熊を採り上げていた四間飛車道場シリーズですが、本巻と12巻では再びオーソドックスな四間飛車になっています。

先手が居飛車穴熊を目指す形に対し、振り飛車側は『藤井システム』ではなく、(居飛車側に)穴熊に組ませてから△4四銀〜△5五歩と中央から捌きにいく形が主に解説されています。

この『熊せて戦う』スタイルは、鈴木大介八段の活躍により「振り飛車互角以上に戦える」と見直されてきていますね。

219ページ、見開きに局面図が6枚の全四章構成。

第一章 『居飛車穴熊の駒組み』 基本図までの駒組みの手順・解説
第二章 『9五歩・4四銀型四間飛車』
第三章 『5四銀型四間飛車』
第四章 『4三銀・4五歩型四間飛車』

ポイントとしては、居飛車側が▲9八香と穴熊の意思表示をした時に△4五歩と角道を開け(もしくは早めに△5四銀)、居飛車に▲6六歩と止めさせる(理想形である4枚穴熊を許さない)点が挙げられています。

居飛車穴熊側に▲6七金を半ば強制することができ、セールスポイントである「堅さ+(王様)遠さ」のうち「堅さ」をある程度低くする事ができるのが、振り飛車側の強みです。

△9五歩を保留して銀冠の完成を急ぎ、同じく中央から捌きを狙う『鈴木システム』が以前レビューした「島ノート 振り飛車編」に掲載されていますので、併読すればより理解が深まると思います。

「藤井システムを指してるが、最後の最後に玉の薄さを突かれて猛追されてしまう」、または「基本どおりに金銀三枚で囲ってから戦いたい」方にオススメしたい一冊です。

難易度は相変わらず高めの設定となっていますので、本書で勉強する際は盤に並べるのがいいと思います。近年登場した松尾流穴熊などにおける攻防を勉強したい方は渡辺竜王の名著「四間飛車破り 居飛車穴熊編」も参考にしてみてください。

シリーズ続編の「四間飛車道場 第12巻 続・居飛穴」では▲9六歩とイビアナ側が端歩を受けた場合の攻防を見ていきます。