四間飛車道場 第10巻 急戦vs穴熊

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評価:B
対象者:5級〜六段
発売日:2003年4月
四間飛車道場の四間飛車穴熊シリーズ(第7〜10巻)の最終巻である対急戦の紹介です。プロ間では、四間飛車穴熊に対して急戦があまり採用されていないため(実戦心理としてやはり玉の薄さから、勝ちにくいと考えられているのでしょう)か、新しい仕掛けなどは発表されておらず、従来からのオーソドックスな形が紹介されてあります。

第一章の「基本駒組み」に続いて、第二章では四間飛車穴熊側が、△3二銀とカウンター狙いで待機している際の斜め棒銀戦法(@△4五歩に▲3三角成 A△4五歩に▲5五歩と角交換拒否 B△4五歩に▲6六歩で角交換拒否)を、第三章では、振り飛車側が△4三銀とする形が詳しく解説されてあります。
デビュー〜六段時までに四間飛車穴熊を多用し、同戦法の著書もある鈴木大介八段によると、上記の△3二銀型の方が△4三銀型より『オススメ(鈴木さんはこの表現をよく使いますね)』だそうです。
以前からあるものの、棋書ではあまり触れられていない▲4九金型斜め棒銀も10数ページわたって解説されています。これは▲5八金を保留して速攻を仕掛けることにより、振り飛車穴熊に△8二銀とハッチを閉める時間を与えない狙いがあります。プロでは加藤一二三 九段が得意とされている形ですね。
対四間飛車穴熊には急戦よりも銀冠、居飛車穴熊のほうが多く見受けられますが、対振り飛車に普段から急戦を採用している人にはオススメの一冊です。
四間飛車穴熊をテーマにした巻はここまでで、次の巻の「四間飛車道場 第11巻 居飛車穴熊」からは、通常の四間飛車対居飛車穴熊の定跡をみていきます。