三間飛車道場(第1巻) 居飛穴 vs 5三銀

居飛車穴熊に対する真部流の構えがメインテーマ
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評価:B
対象者:5級〜四段
発売日:2004年6月

四間飛車道場』シリーズが16巻で完結し、三間飛車ファンにとっては「ようやく出たか」という感が強い『三間飛車道場』の第一巻です。

表紙のデザインが洗練された以外は、担当編集者・著者共に前シリーズと同じですので、四間飛車道場をお読みになられた方は本シリーズの内容も大体想像できると思います。

出版社に関わらず定跡本の刊行順は、決まりきったように『急戦編』を最初にしていましたが、本シリーズは頻出度の高い『持久戦』を一巻に。

219ページ、見開きに局面図が6枚の全四章構成です。

第一章 ▲7八金型居飛車穴熊
第二章 ▲6六銀型居飛車穴熊
第三章 ▲4六銀型居飛車穴熊
第四章 △5四歩早突き三間飛車

最近の三間飛車における対居飛車穴熊は、この戦形のスペシャリストである中田功六段考案の『中田功XP(@玉の囲いを後回しにして、いち早く桂馬を跳ね、四枚穴熊を阻止。A状況によっては、玉は△7一のまま△8五桂から端に殺到)』が注目を浴びていますが、本書のメインとなっているのは、相手に四枚穴熊(完成手前)に組ませるものの△5三銀〜6四銀と好形に組み上げ、中央からの捌きを狙う『真部流』と呼ばれる形です。

真部流自体は1980年代からあるそうですが、棋書の形で(部分的に)解説されているのは『三間飛車ガイド(絶版)』・『居飛穴なんかコワくない(絶版)』・『羽生の頭脳 第四巻』・『定跡外伝』と非常に少なかったので、オーソドックスな形を好む三間飛車党の方には本書は貴重だと思います。

毎回書いているような気がしますが、解説図面が豊富でも難易度はかなり高いので、本書で勉強の際は実際に盤で並べるのがいいでしょう。

続編の「三間飛車道場 第2巻 居飛穴 vs 4三銀」では居飛車穴熊に石田流で対抗する形を見ていきます。