手筋の裏ワザ

定跡外伝とB級戦法の達人を合わせたような内容です
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評価:B
対象者:5級〜二段
発売日:2007年4月

週間将棋で連載されていた人気講座「筋を通せ!1筋〜9筋の抜け道的裏ワザ」を再編集して単行本化したものです。1冊に収録し切れなかったため、1〜6筋に関する手筋や戦法は本書で、残りの7〜9筋は続編となる「裏定跡の決め手」で紹介しています。

内容は、四間飛車で△1二香に代わりに△1三香とした場合、定跡とされる仕掛けの結論はどうなるのか、といった「定跡外伝」シリーズの要素と、右玉棒銀、腰掛角戦法、4手目△4四角戦法など「奇襲大全」や「B級戦法の達人」、「ワンダー戦法」の要素をミックスしたような感じで、正直ジャンル分けに困る本です。

続編はアマチュア有段者(四段が多い)の将棋が題材となっていますが、本書で20年前のアマチュアの将棋やプロの将棋も題材となっています。

全223ページの2章構成、見開きに盤面図が4枚配置されています。

アマチュアに人気の右四間飛車

第2章 4〜6筋の新手筋より:図は△4一飛まで
右四間飛車が▲3七桂と攻撃態勢を整えた手に対して、後手が△4一飛と珍しい構えをとった場面です。ここで▲2五桂と仕掛けると、以下△1一角▲4五歩△2四歩▲4四歩△2五歩▲同歩△3三桂となり、次に△2一飛と回る手があり△4一飛と引いた一手が生きてきます。

手筋関係のテーマは普遍性の高いものが多く、1つの局面図だけでなく、違う戦型で応用している場面も合わせて掲載。例えば、上図の対右四間の△4一飛は「急戦封じの△4一飛」というテーマで、「ポンポン桂」「2枚銀」での応用と合わせて紹介されています。

いわゆるB級戦法っぽいものも狙い筋の紹介だけにとどまらず、相手の対応策によって「指し手1」「指し手2」と二通りの手順を載せて検証している点はウソ臭さがなくていいと思います。

編集部の好みなのか、それともまだ未開拓の部分が多くあるのか、最近はあまり見かけなくなった雁木戦法に関するページが多くなっています。そのほかは居飛車と振り飛車をバランスよく掲載。

タイトルを見て手筋だけを解説した本だと思って購入すると「orz(ガックリ)」くる可能性大です。気になる方はお近くの本屋で一度手にとってみてください。