Zの法則−ゼったい詰まない終盤の奥義

いかに王手の掛からない形に持ち込むか
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評価:B
対象者:初段〜四段
発売日:2003年9月

Z=絶対に自陣が詰まない形、という棋界専門用語からタイトルを採った寄せの本です。サブタイトルにもあるように、この本の骨子は、寄せられそうな自陣をあの手この手でZの形にして、一気に相手玉を寄せに行くという点にあります。

素人編・新人編・凡人編・鉄人編・達人編と5つのレベルに合わせて問題が用意されていて、その後に解説がつくというオーソドックスな構成になっています。

Zの素人編(なのにこの難しさ!)より:問題図は△39とまで
まず、▲4七角△同龍で自玉が絶対詰まない形(=Z)にしておいてから、▲4一竜とします。△3二銀とはじかれて困ったかのように見えますが、▲1二金(!)が絶妙手。△同玉は▲3二竜からの3手詰めなので、△同香ですが、再び竜取りを放置しての▲3一金で決まりです(△4一銀と竜を取るのは▲2一金打の一手詰め)。

残念なのは、@『飛車金を渡さない限り自陣は詰まない飛車金ゼット』、『角銀を渡さない限り自陣は詰まない角銀ゼット』等のフレーズがあるのですが、著者が上手くそれらをパターン化していないために読者の頭に残りにくい、A問題図が『いかにも次の一手用に作りました』感が出ていて、問題を見た途端に答えが分かるものが多い、という点です。

問題形式よりも、途中で出てくるZの法則を生かしたプロの実戦解説が、ためになりました。本屋さんに行く機会があれば、是非128ページ目の米長vs加藤一二三戦における、米長永世棋聖の白眉の寄せを見てみて下さい。

なお著者の日浦七段はプロの実戦で登場した華麗な詰み筋をまとめた「投了の真相」シリーズも出していますので、プロの技を堪能したい方、腕自慢の高段者の方はそちらも参考にしてみてください。