森信雄の勝ちにいく!詰め将棋ドリル2 一手詰め・一手必至

必至を覚えれば初心者の勝率は相当に上がるはずです
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評価:B
対象者:15級〜8級
発売日:2005年12月

創作次の一手の著書「スーパートリック109」や雑誌「将棋世界」での風景写真(プロ級)、そして故・村山聖 贈九段の師匠としても有名な森信雄六段による詰め将棋・必至入門書です。

シリーズ前作の「勝ちにいく!詰め将棋ドリル」では一手・三手・五手詰めをテーマにしていましたが、今回は一手詰めの詰め将棋を300題に加え、一手必至問題を99題ほど追加したスタイルになっています。

一手詰めは「頭金」などではなく、開き王手や飛車と角のコンビネーション、相手駒の利いているところに駒を動かす(下の1図を参照)など、一手でありながらも是非覚えておきたいパターンを中心に出題されています。

あと、今回大切なのは後半の必至問題です。「王手は追う手」と言うように、詰まない王様に王手ラッシュをかけても、スルスルと逃げられて駒を無駄に使ってしまうだけです。その局面で詰みはないけど、この一手を指すことによって「次に絶対に詰む形(=必至)」に持ち込むパターンを習得すれば、勝率はグッと上昇します。

図1 詰め将棋:桂馬が利いている▲3五に竜を持っていく手が正解。「△同桂でタダじゃん」と思う方は6一の地点から馬が睨んでいるのを確認しましょう。このように大駒の利きを利用した一手詰めはうっかりすることが多々あります。攻めるときも受けるときも注意しましょう。

図2 必至問題:退路封鎖の▲1三金が正解。△同金も△同香も詰みです。

初心者を意識して一手の詰みと必至に絞って出題しているので入門用に最適ですが、解答と変化手順が載っているだけですので、もう少し解説があってもよかったのではと思います。

私なら図2で「初心者の方は『金はとどめに』という格言を聞いたことがあるかと思いますが、ここで金を温存して▲1三銀とやると△同香と取られて、▲2二龍△同玉の際に3一に打つ銀がないために詰みません。」などと書くでしょう。ページ数の関係上、仕方ないのかもしれませんがその辺が少し残念です。

一手詰み・必至は繰り返し練習して、「ビビッ」と読み以前の直感で指せるようにしましょう。なお1手・3手の短い必至問題をビシバシ解いて、基本を完全にマスターしたい方には青野九段の「精選必至200問 実戦的な傑作問題集」がオススメです。