桐山清澄:アマの将棋ここが悪い!Vol.1 序・中盤の急所

アマチュアが間違いやすい局面から出題
この本の詳細をAmazonで見る

評価:B
対象者:10〜3級
発売日:1999年6月

アマチュアの将棋で頻出する序・中盤の局面図をテーマに、最善手を探す「次の一手」の問題集です。解答は選択式ではないので、ゼロから自分の力で考える必要があります。

全206ページ、解答ページは4〜6ページで盤面図が各ページに2枚配置されています。目次は以下の通りです。

第1章 振り飛車戦での急所
第2章 対振り飛車戦での急所
第3章 相矢倉戦での急所
第4章 その他の戦いでの急所

アマや女流プロで人気の菊水矢倉からの問題

第3章 相矢倉戦での急所より:図は△8六同飛まで

この問題集の良いところは、最初に、我々アマチュアが指してしまいやすそうな凡手・悪手の見本例(笑)を2つほど挙げて、どこが悪いのかを解説している点です。

例えば上の図の例ですと、▲8七歩と▲7五歩が指してしまいそうな手ですが、それぞれ『飛車先の歩を交換され、平凡におさまってしまっては損。相手の意思を全面的に受け入れたことになる。』、『桂頭の弱点をつくほうに目が行くのは強い証拠だが(中略)、以下△8四歩と下がって受けられると次に厳しく迫る手がない』としています。

因みに正解手はお分かりだと思いますが、▲8五歩と飛車の退路にふたをして、次に▲8七銀として飛車を殺そうという手です。▲8五歩に対して△同桂でも、やはり▲8七銀で飛車銀交換が確実になります。

この形はよく出現するので覚えておいて損はないのですが、注意したいのは玉が8九にいる場合、▲8七銀の瞬間に△7七桂「不成」と王手されて、以下▲同金寄に△8一飛と逃げられてしまいます。この手筋は「手筋の達人 矢倉の手筋が満載」のP57においても出題されていますので、お持ちの方はご確認ください。

図で8九玉と寄っている形ならば、正解手は▲6五桂と跳ねて、5九の角で飛車を狙います。△8三飛としても、▲8四歩△同飛▲7三桂成で先手優勢です。このようにちょっとした形の違いで、指す手もガラリと変わるのです。

本書の続編である「アマの将棋ここが悪い!次の一手形式2 中・終盤の秘手」もレビュー済みですので、そちらのほうも参考にしていただけると幸いです。