将棋ガイドブック

大会運営者は必読の一冊です
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評価:A
対象者:将棋に興味のある方・将棋を知人に紹介したいと考えている方
発売日:2003年11月

本書は、駒の動かし方・並べ方・禁じ手等の基本ルールから、プロ棋士の対局規定・将棋の歴史(プロ棋士系譜など)・将棋用語の基礎知識・将棋雑学(プロ棋士の日常は?など)に至るまで、『将棋』をあらゆる角度から解説したガイドブックです。

207ページの全11章構成です。
第一章 総則   将棋説明・基本ルール
第二章 将棋用具
第三章 将棋ルール 駒の名称と動き方・符号・ゲームの進め方・マナー
第四章 棋譜 棋譜の表記法
第五章 大会運営 対戦方式・持ち時間制・宣言法と助言
第六章 プロ棋士対局規定
第七章 将棋の歴史 家元三代家系図・棋士系統図・棋士番号
第八章 写真で見る将棋博物館
第九章 将棋用語と基礎知識
第十章 将棋雑学
第十一章 社団法人日本将棋連盟 概要

前書きに『日本伝統文化の将棋・将棋会を正しく伝えるためのガイドブック』とあるように、内容もかなり厳密、かつ多岐にわたっています。

将棋のルール説明にしても、単に駒の動き方・ゲームの進め方だけではなく対局マナー・常識の項を設け、○椅子対局で無い場合は正座かあぐらにする。立てひざは相手に不快感を与えるので避ける。○駒を取るとき以外は故意に相手の駒に触らない。○カラ打ちは避け、駒の手離れをよくする。 ○王手をかけるときは相手に「王手」と伝える必要は無い。○マナーや礼儀、挨拶なんかもちゃんとしておくときっと強くなれる(至言です。先日の西部ライオンズ松坂選手の野球教室を思い出した。)と書かれています。

大会運営の章では結構知らない人が多い(ケインもいまいち)入玉将棋における点数計算法・チェスクロック使用時の注意・対戦方式(スイス式・トーナメント式・リーグ方式)・観戦者への注意等、スムーズに大会が進行できるように各手順が分かりやすく掲載されています。

また、プロ棋士の対局規定が全て、原文そのままで掲載されているのは本書だけではないでしょうか?

順位戦の組み合わせ抽選には、正会員の立会人が一名必要(ただし自身の在籍するクラスの抽選には参加できない)等、初めて知る項目が多いと思います。

タイトルだけ見ると、これから将棋を始めたいと考えている初心者を対象にした本だと思われるかもしれません。

しかし、既に将棋を覚えている方も、本書を読むことによって、盤上のやり取りだけではなく、より深く将棋に触れることが出来ると思います。

欠点をあげるなら、小さな子供には作りが硬派すぎるきらいがある、という点でしょうか。(漢字のふりがなも全くありませんので)

子供に将棋を教えたいと考えている方は、漫画のキャラクターが大きな局面図(81マスではなくて、駒の効きが及ぶ範囲限定の小さなもの)を使ってルールを解説する本の方がはじめは良いでしょう。