森下卓:なんでも矢倉

対振り飛車にも矢倉を採用しています
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評価:B
対象者:11級〜6級
発売日:2004年9月

表紙の「有段者は読まないでください」という脱力感溢れるキャッチコピーで有名になった『なんでも〜』シリーズ(既刊に「なんでも棒銀」・「なんでも中飛車」)第三弾は矢倉がテーマとなっています。

全206ページ、見開きに局面図が4枚の三章構成。

第一章:矢倉角引き戦法
第二章:銀立ち矢倉
第三章:後手番無理矢理矢倉

<矢倉引き角棒銀より>

矢倉角引き戦法というのはあまり目にしませんが、対振り飛車において普通の急戦形(8八角・7八玉・6九金・6八銀・5八金・4八銀の形)から▲5七銀左(右)に代えて▲7七銀とあがり、次の▲7九角から右銀を繰り出していく準急戦策のことを指しています。

銀立ち矢倉は対振り飛車における玉頭位取り戦法、後手無理矢理矢倉は序盤の△3四歩〜△4四歩の出だしに▲2五歩と、早めに△3三角を決めさせられた形から△2二銀以下、矢倉に組んでいく戦法のことです。

以上のように本書で解説されている「矢倉」は、我々がすぐに連想するあの形(相居飛車でオーソドックスに▲7七銀・6七金、△3三銀・4三金)とは若干、趣が違いますので注意が必要です。

初級者をはっきりと意識して、各戦法の主要変化と狙い筋だけが解説されていますので、かなり読みやすい内容となっています。

「(これらの戦法の)経験は私はあまりありませんが、初級者は得意形を持つことが大事だとおもいますので・・・」と森下九段が前書きで述べられているように、「いろんな戦形の名前と形は知ってるが、コレといった十八番がない」という方が一読すれば、何か新しい形を指すきっかけになるかもしれません。

森下九段は同じ創玄社から刊行された「初段に勝つ矢倉戦法」も著しており、こちらでは相居飛車での矢倉をテーマにしていますので、そちらのページも参考にしてみてください。