森下卓:将棋基本戦法 振り飛車編

居飛車対振り飛車の定跡の基本が学べます
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評価:B
対象者:10級〜5級
発売日:1997年10月

道場やネット対局で指していて我流だけでは勝てなくなり、「そろそろ定跡とやらを勉強したほうがいいかも」と思った方を対象とした、居飛車vs振り飛車の基本定跡の解説書です。

四間、三間、向かい飛車、そして中飛車に対する居飛車の急戦・持久戦の攻防を森下九段が紹介していきます。発売当時に既に藤井システムは登場していましたが、あの形はある程度将棋が出来上がって初めて指す戦法ですので、本書では割愛しています。

第1章 四間飛車戦法
第2章 三間飛車戦法
第3章 向かい飛車戦法
第4章 中飛車戦法
第5章 実戦解説編(対山口七段、神吉五段、中田五段の計3局自戦記)

有名な斜め棒銀の定跡。これは振り飛車よし

第1章 四間飛車戦法より:図は△3三同銀まで
有名な斜め棒銀の定跡手順で、先手の角交換に対して後手が△3三同銀としたところです。以下、▲2四歩△同歩▲同銀△同銀▲同飛△3三角▲2一飛成に△2二飛とぶつけて桂損でも振り飛車よしです。

どの戦法も駒組から基本定跡における仕掛けをちょっと触れているだけなので、入門書として適していますが、これだけでは不十分です。

長く複雑な定跡をフルマラソンに例えるならば(どんな例えだ)、本書でカバーしている範囲は最初の1kmくらいです。読み進めていて「もっと勉強したい」と興味を持ったならば、その戦型に特化した定跡書にステップアップしてみましょう。

なお、本書の姉妹書として「将棋基本戦法 居飛車編」も出版されています。そちらは矢倉や相掛かり、ひねり飛車など相居飛車における定跡を解説しています。

本シリーズが簡単すぎるという中級者以上の方には鈴木輝彦七段が講師を務めた「NHK将棋講座」の内容を単行本化した「将棋戦法小事典」がレベル的にちょうどいいでしょう。