石田和雄:なぜ疑問手か?−イモ筋をプロ筋に!!

意外にいい本でした
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評価:B
対象者:10級〜5級
発売日:1980年6月

本書はある局面図で我々アマチュアが誤って指してしまいそうな手と、その局面での正しい手を比較・解説する次の一手形式の本です。一番最初に「ダメだし」ではじめる点が従来の本と少し違った点です。

222ページ、見開きに局面図が4枚です。内訳は右項に問題図が1枚。左項に「イモ筋」の図・その結果の「失敗図」・「正解手」の図がそれぞれ1枚。問題図はすべての駒を盤上に配置した実戦形となっています。全三章構成。

第一章 序盤編
第二章 中盤編
第三章 終盤編

全章に渡って『問題図を見てまず目につくのは▲〜だが、』・『パッと見ると▲〜が』といった文章で、初・中級者が指してしまいそうな「イモ筋」をまず挙げる→その手を指すとどういう風に駄目なのかを失敗図を交えて解説→では、どう指すのがプロ筋なのかを残り4分の1ページで解説、という作りになっています。

序盤編では『対振り飛車戦で(▲6八玉に代え)▲7八金とあがるのは何故イモ筋なのか?』・『角換わりの将棋で△7七角成にたいして▲同金が何故悪手か?』他、囲いや駒組みの段階における注意点を中心に解説。

中盤編は『対振り飛車の棒銀で▲3五歩と打って後手の3四銀を追い払うのが何故駄目なのか?』・『矢倉中飛車での受け方』・『玉頭位取りでの受け方』・『十字飛車』・『歩の突き違い』他がテーマ。

終盤編は『王手は追う手』・『美濃囲いの急所』・『挟み打ち』・『必死の掛け方』・『玉を下段に落とす』等の寄せに関する実践的なテクニックを紹介。

中・終盤編は雑誌『将棋世界』に毎月連載されている「昇段コース−初段・二段・三段」の第一問目(一番易しい)に問題の作り方・難易度共によく似ているので、大体の想像はつくと思います。

駒組みの注意点、中盤での狙い筋・手筋、終盤での囲い崩し・必死の掛け方は年月を経ても大きく変わるものではありませんので、古い本とはいえなかなか良く出来た内容だと思います。

欠点は左ページに答えが掲載されているので、問題図を見てるときに目に入ってしまいそうなのと、鋳型を使って作ったと思われる盤面図がちょっと見にくい、といったあたりでしょうか。