振り飛車ワールド(’04 第1巻)

指定局面戦は四間飛車に対する▲4五歩急戦
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評価:A
対象者:11級〜四段
発売日:2004年1月

年が明けてカバーのデザインも新たになった振り飛車ワールドの第7弾(表記の上では’04第一巻)です。中のシリーズはほとんど変更ないんですけどね(笑)。

内容は…
@巻頭インタビュー(青野照市九段)
A所司一門のガチンコ指定局面戦(題材:4五歩早仕掛け・居飛穴対4四銀型四間飛車)
B振り飛車党列伝(飯野健二七段)
C講座 どんどん攻める石田流(鈴木大介八段)
D自戦記 さばきの極意(久保利明八段)
E将棋エッセー(安食総子女流初段・坂東香菜子女流2級ほか)
F講座 熊せて戦う四間飛車2(千葉幸生五段)
G講座 符号で見る振り飛車の手筋(石川陽生六段)
H読み物・定跡信ずべし、信ずべからず
と、基本的に変更はありません。どのシリーズも概ね好評とのことです。

今回、新年ということでリニューアルがあったのが、ガチンコ指定局面戦です。

今までは一つの題材に3つの指定局面戦を行っていたのですが、それを1つ減らして、代わりにタイトル戦に登場した注目の局面を、研究する特選指定局面戦という企画が始まりました。

今回は第16期竜王戦第一局(羽生善治竜王対森内俊之挑戦者)で現れた4五歩早仕掛けが採り上げられています。

前年の第一巻で採り上げられなかった先手からの角交換〜▲8八角という有力手順の最新研究が解説されています。

残りの2つの指定局面戦は、居飛車穴熊対4四銀型四間飛車です。▲6八角と引く形と▲5九角〜▲2六角と展開する形が研究されています。

巻頭インタビューでは、青野照市九段が対振り飛車急戦についての魅力を語っています。「ただ勝つのではなく、魅せて勝つのもプロの使命」という考えのもと、将棋の芸術的な部分を大事にしていきたいという想いをお持ちのようです。「芸」へのこだわりが感じられますね。

お役立ち度の高い千葉五段の講座は、ガチンコ指定局面戦と同じ4四銀型四間飛車の最新流行形を解説されています。

相変わらず勉強になる内容で、私はここで勉強したことを実戦で試して、24で五段の人に勝ったことがあります。勉強したことで勝てると嬉しいもんですね(笑)。

その他にも石川六段や鈴木八段の講座、久保さんの自戦記、安食女流や坂東女流のエッセイなど、相変わらず振り飛車情報満載の内容です。

参考書として良し、読み物としても良し。ぜひ振り飛車党の方には読んでいただきたい一冊です。(投稿:Shigekun二段)