横歩取りマスター

次の一手で定跡を復習
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評価:B
対象者:5級〜三段
発売日:1992年3月

横歩取りガイド」とその続編「横歩取りガイド Vol.2」で学んだ定跡の習得度を確認するための「次の一手」形式の問題集です。本書の問題を解くうえで、その2冊は必須ではありませんが、いずれも同年代に出版されたこともあり、2000年以降に出版された定跡書(ex:横歩取り道場)などを読んだ後で本書を読むと新手などの関係で結論が違うことも考えられますので注意が必要です。

「相横歩取り」「△4五角戦法」など5種類の戦法別に分けて、計100問が出題されます。目次は以下の通り。余談ですが、本書の目次欄にはタイトルが「穴熊マスター」となっています(笑)。テンプレートの使いまわしか?

  • △2三歩型(第1〜23問)
  • △4五角戦法(第24〜50問)
  • 相横歩取り(第51〜61問)
  • △3三角戦法(第62〜85問)
  • その他の横歩取り(第86〜100問)
中・終盤が同居する恐怖の戦型

第42問 △4五角戦法より 難易度=A:図は△6六銀まで
手堅く▲5八金と受けると△3八飛▲4八飛△同飛▲同玉△6九飛と絡まれてうるさいです。ここでは▲3三香成と強く攻め合いに出るのが最善とされています。以下△6七銀成なら▲3二香成△7八銀成▲3一香成△6七角成▲3三馬△6二玉▲2二飛(王手)で先手有利となります。

最後の▲2二飛の王手に△5二金や△5二金打なら▲4八玉の早逃げが好手で、先手の一手勝ちとなります。

ここでは無理筋。正確にとがめましょう

第88問 △3三桂戦法より 難易度=A:図は△4五桂まで
△3三桂戦法には常にこの桂跳ねの狙い筋が存在しますが、ここでは無理筋。▲5六飛と回って▲5三飛成と▲4六歩を狙うのが正解です。対して△2四飛には▲2二角成△同飛(△同銀は▲1五角の間接王手飛車)▲2三歩で先手十分です。

問題図の上部にはその局面に至るまでの2手(ex:上の1問目だと▲3六香△6六銀と言った具合)が、そして下部にはヒントと難易度が明記されています。

前100問中100問正解で「完全無欠のマスター(達人)」、99〜80問正解で「立派なマスタークラス」、79〜50問正解で「マスタークラスまでもう日と頑張り」、49〜0問正解で「ビギナークラス」と認識されます。

横歩取りは事前に習得した予備知識によって、自分が持っている棋力以上(あるいは以下)のものが出てしまう特殊な戦法です。定跡復習系の問題集は個人的にはあまり評価しませんが、この戦法の場合は読んで得るものもあるでしょう。