鈴木大介:鈴木流四間穴熊

振り飛車に都合のいい手順が多いのが気になる
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評価:B
対象者:8級〜初段
発売日:1998年4月

本書は既に絶版となったMYCOM「振り飛車新世紀」シリーズの第四弾です。五〜六段当時に穴熊を連採していた鈴木八段による「四間穴熊」の入門書といえる内容となっています。

構成は223ページ、見開きに局面図が4枚の二部構成です。

棒銀に対する鈴木流の受けとは?

第一部の対棒銀より:図は△6五歩まで
「力強い受けが好き」と本人が認めているように、ここでの鈴木流の受けは▲7七金とゴツイ一手です。以下△7六歩▲同銀△6六歩▲同金△6五歩▲6七金△8八角成▲同飛△7五銀▲同銀△同飛▲7六歩△7四飛と自然に受けた後で、▲3八飛と玉頭に狙いをつけるのが、四間飛車穴熊の常套手段です。

第一部
@「居飛車急戦破り!」 居飛車側が斜め棒銀・棒銀の急戦策
A「銀冠・居飛穴撃破!」

第二部
「実戦編」として鈴木八段の四間飛車穴熊の実戦譜を5局ほど、自戦記の形として解説してあります(対加藤一二三・中川・郷田・中田・堀口)。

鈴木八段の著書の特徴といえば、狙い筋が明快で解説はかなり大雑把(汗)という印象がありますが本書も例外ではありません。

例えば19ページに「他に▲6六銀とかわす手も有力。こちらの方が相手の攻めの銀をさばかせないので『本筋』だろう。」とあるのですが、『本筋』と言っておきながらこの手(▲6六銀)の解説は全くありません!(笑)

人間、些細な事を気にしていては大成できないという鈴木八段からのメッセージであろうとケインは深読みします。

四間飛車穴熊をこれから始める人の入門書には向いていますが、そちらの方は先崎八段の著書「ホントに勝てる穴熊」にその座を取って代わられていますし、いかんせん紹介されている変化の幅が狭いので、有段者にも評判はイマイチでしょう。

絶版となっていますが、師匠である大内九段の著書「史上最強の穴熊」は2冊に分かれており、その分ここでは省略されていた手順や戦形が解説されていますので、有段者の方はそちらをオススメします。

なお、「振り飛車新世紀」シリーズの第5弾は「鈴木流相振り飛車」と、引き続き鈴木八段の著書となり、相振り飛車の基本定跡を解説していきます。