三間飛車道場(第2巻) 居飛穴 vs 4三銀

△3二金型石田流は飛車交換に強く対イビアナ向きです
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評価:B
対象者:5級〜四段
発売日:2004年8月

三間飛車道場(第1巻)は居飛穴vs5三銀型がテーマでしたが、第2巻では△4三銀と上がって石田流の理想形を目指す形(ただし、居飛車穴熊側もガチガチに組めるので不満のない展開)と▲9八香と居飛車穴熊を見せた瞬間に、△2二飛車と展開し、固められる前に△2四歩から急戦向かい飛車で仕掛ける形が解説されています。

219ページ、見開きに局面図が4枚の全三章構成です。三間飛車道場から変化図に局面の良し悪しを示した記号(+−±など)が併記されるようになっており、一目で形勢がわかるようになっています。20年位前のイエローブックシリーズでも使われていたので、覚えている方も多いと思います。

序章 基本図までの駒組み
第一章 5一角型石田流(後手7四歩の変化 後手6二角の変化)
第二章 4二角型石田流(後手5二金左の変化 後手3二金の変化ほか)
第三章 先手5六歩早突き居飛車穴熊(後手5二金左の変化 後手3五歩の変化)
第四章 向かい飛車(後手2二飛の変化 後手2三飛の変化)

第二章 4二角型石田流より:図1は△5三角まで

第四章 向かい飛車より:図2は▲5六歩まで

その硬派っぷりには定評のある東大将棋ブックスですので、「コーヤン流三間飛車」で触れられていた"捌きの感覚"などは出てこずに、あくまでも定跡を追求した形となっています。

上の図1のような形から先手はさらにビッグフォー(4枚穴熊)を、後手は高美濃を目指す展開のように、戦いが始まるまでの駒組みやそこに至るまでの細かいやり取りが前巻よりも多く、飛車が捌ける展開(成功例)まで掲載されていないので、三間飛車党の人が読んだら少し消化不良の感じを受けるかもしれません。

玉の囲いを進展させる定跡もいいのですが、振り飛車側が角のラインを利用して△3六歩と突いて、2六の飛車を狙いに行く決戦策を詳しく掲載してほしかったです。

第四章は図2のような形を中心に解説しています。ちなみに図以下は△4五歩▲2四歩△7七角成▲同銀△3三桂▲3七桂と進みます。この向かい飛車をやりたくて三間飛車にする人は少ないでしょうから、あくまでもバリエーションの一つとして覚えておくということでしょうか?

持久戦における駒組み以降の定跡というのは急戦のそれに比べると、若干落ちます(急戦の場合はすぐに仕掛けるので勝敗に直結します)。この本をパラパラめくって「うわ、しんどそう!」と思ったら、該当棋力の方でも読む必要はないと思います。

図1のような形、あるいは同じく第二章で解説されている△3二金型石田流からの仕掛けは、若干形が異なりますが、小倉七段の著書「下町流三間飛車」や鈴木八段の「最強力戦振り飛車マニュアル」でわかりやすく解説されているので、二段くらいまでの方ならこれらの他の棋書で勉強してから、本書を読んでみても遅くはないでしょう。

対居飛車穴熊はこの巻で終了し、続編の「三間飛車道場 第3巻 急戦」では居飛車急戦策を見ていきます。