横歩取り道場(第3巻)4五角戦法


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評価:B
対象者:5級〜四段
発売日:2002年11月

横歩取り道場の第三弾は、現在プロでは指されないにも関わらず、我々アマチュア(特に24の級クラス)の間では頻繁に見かける横歩取り△4五角戦法について書かれています。

全221ページ、1ページに3枚の局面図を使い、
第一章 基本図までの駒組み
第二章 △2三歩に▲7七角型
第三章 △2三歩に▲8七歩型
第四章 △4五角に▲7七角型
第五章 △4五角に▲8七歩型
第六章 △4五角に▲3五飛型
第七章 △2八歩に▲7七角型
以上の全7章で構成され、(基本的に)変化も深くまで記されています。

プロの間では横歩取り△4五角は後手が苦しいと結論づけられ、現在は全くと言っていい程指されていません。そのため前巻同様、本巻も横歩取り△4五角をある程度知っている方からすれば、既出の棋書の焼き直し感があることは否めないと思います。

しかし実際に横歩取り△4五角を指されると、先手を持って後手の強攻を受け切った上に勝ちに持っていくというのは案外大変です。

中にはギリギリで詰まないといった変化もあり、一手間違えると先手が負けになってしまうという事も珍しくありません。そういった最終盤までの変化が多く記されている点は評価できます。

「東大将棋」シリーズは「入門書」ではなく「辞書」である、という意見に変わりはありません。

ただ、本書で扱っている横歩取り△4五角自体が、受け方を知っていれば何でもないが知らないと酷い目に遭う、というある意味嵌め手とも言える戦法なので、級クラスの方で横歩取り△4五角を苦手としているのであれば、購入するのも良いと思います。

他には、「羽生の頭脳10 最新の横歩取り戦法」にも横歩取り△4五角戦法が解説されているので、こちらも一読してみることをオススメします。

「居飛車奇襲戦法」や「定跡外伝2」には、横歩取り△4五角戦法の裏定跡?が載っているので、興味のある方はそちらも見てみると良いでしょう。特に後者には、△4五角に▲3五飛と指す指し方が書いてあり、これで勝ち星を結構稼ぐことができました。

そういった理由で、第六章の内容にはかなり期待していたのですが、この章には僅か13ページしか割かれていない上に変化の質量共に豊富であるとは言えず、正直ガッカリさせられました(笑)。

評価はBですが、上記の理由により個人的には評価を落として、Cに近いBというところです。(投稿:ももさん 3級)