羽生善治:挑戦する勇気

講演会の話をまとめた単行本です
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評価:C
対象者:将棋ファンのちびっ子
発売日:2002年12月

本書は、羽生王位が朝日ジュニア・サマースクール(親子で参加できる、子供のための講演会)で行なった講演・子供からの一問一答を加筆して一冊にまとめたものです。

裏表紙に『将棋の上達法はもちろん、ライバルの話から教育論まで、天才の本音が垣間見える』と宣伝コピーがあるのですが、ライバルの話は、★子供「羽生さんの好敵手は誰ですか?」 ☆羽生「タイトル戦でよく戦っている人は、みんなライバルですね」と三行だけだったりします(笑)

149ページ、全四部構成。
第一部 棋士になるまで
第二部 日本で将棋は面白くなった チャトランガから日本の将棋まで
第三部 知識から知恵へ
第四部 子供から一問一答 「ゴキゲン中飛車をどう思いますか?」など
(表紙の羽生王座がいい表情をしていて、よく撮れています。)

第四部を読むと小学生からの質問が多いので、恐らく第一部の公演内容も10歳前後の子供を意識したのでしょう。

将棋を覚えたきっかけ・将棋の魅力・奨励会と学校生活・・・とプロ棋士への道を非常にわかりやすい言葉で語っています。

将棋の専門誌を読んでいる愛棋家の方ならば、既に一回は読んだことのある内容が多いですし、年代が上の方なら少々物足りない感じを受けるとかもしれません。

ただ、第三部では「たくさんの経験を積み重ねてしまうと、考える材料が増えてしまう。(それにより)かえって迷ったり、心配したり、怖いと思ったりする気持ちが働くことも多くなるわけです。」・「今現在の局面をもとに、最後の場面を想定する。(それから)どのように繋ぎ合わせていけば、現在の局面と結論の間に端をかける事ができるのだろうかと考えるようにしています。」と第一人者ならではの考察を披露しています。前者は小室哲哉プロデュースの曲にも同じ趣旨の歌詞が出ていますね。

他には藤井システム・中座飛車を例に「斬新なアイデアは非常識から生まれる」など先入観・固定観念に対する話など。

上記の第三部を除いては、羽生王位じゃないと述べられない(書けない)内容ではないので、正直「う〜ん」といった感じです。

将棋や羽生王位のことをよく知らない人ならば、全編を通して興味深く読めるでしょう。