米長の将棋 4巻 ひねり飛車・横歩取り

タコ金戦法は囲いが薄いので、大局観が求められます
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評価:A
対象者:5級〜三段
発売日:2004年4月

シリーズ第四巻はひねり飛車と横歩取りがテーマです。ひねり飛車は近年、採用率がグッと減ってきています。昔と違い、対ひねり飛車における後手番の囲いが2二玉-3三角-3二金-4二銀と堅さ負けしないようになっているのが一因です。

本書は1980年に出版された同タイトルの復刊ですので、棋譜も当然、1970年代が中心となっています。当時の対ひねり飛車対策は△35歩から左金を3四に進出させる「位取り」や、△3二〜3三〜4四金と出るいわゆる「タコ金」戦法が中心です。

297ページ、見開きに局面図が4枚の全3章構成です。

第1章 タテ歩取り―玉頭戦(位取りが成功した、大局観を誤ったほか)
第2章 タテ歩取り―飛車と戦う(力強い4三玉で優勢にしたほか)
第3章 横歩取り(絶妙の玉の早逃げ、おもしろい玉上がりほか)

第1章 タテ歩取り―玉頭戦 ▲加藤一二三 △米長邦雄:図は▲6五歩まで
△同歩▲6四歩△5四銀▲7四歩△同歩▲同飛△7三歩▲7六飛△8六歩▲同角△4五金とぶつける。

どちらの戦法も右の金銀は6三と7二で飛車に備えているため、玉の守りが非常に薄く、またバランスのとり方が難しい戦法です。だからこそ確かな大局観が求められるとも言え、教材として読み応えのある一冊となっています。

次巻の「米長の将棋 5巻 棒銀・腰掛銀」では、銀の捌きの成否が勝敗を分ける棒銀と腰掛銀がテーマとなっています。