奇襲大全

代表的な狙いだけを掲載しています
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評価:B
対象者:11級〜初段
発売日:1999年3月

アマチュアならではの発想によって生みだされた奇想天外・前代未聞・一部変態(笑)な戦法をカタログ的に紹介した、定跡将棋へのアンチテーゼとも位置づけられるユニークな企画本です。

構成はその戦法の骨子なる一手を「次の一手」形式に局面で紹介し(最初の1ページ)、残りを見開きで4面となっています。

第一章は『平成の奇襲』 対四間飛車用の新開発奇襲として、角道をあけずに居飛車穴熊へ組む「音無しの構え」・居飛車穴熊を匂わせておいて、と突如急戦を仕掛ける「偽装居飛車穴熊」・対藤井システム用「ゴーゴー左美濃」(←なんなんだこのネーミングセンスは・・・)の3戦法を紹介。

第二章は『昭和の奇襲』 角交換四間飛車・角換わり四間飛車穴熊・楠本式対潜石田流・一間飛車振り穴・一間飛車居飛車穴熊他10戦法。

第三章は『永遠の奇襲』と題して、ヒラメ・アヒル・鬼殺しと誰もが耳にした事のある定番奇襲を紹介しています。

セールスポイントは、胡散臭い(失礼)タイトルの本ながら実用度がそこそこ高い戦法がかなりある点が挙げられます。特に第一章の3つと楠本式対潜石田流は優秀でアマ高段者の将棋で実戦で指されています。

またカタログ式に多くの戦法を紹介する事に重点が置かれているので、定跡本とは違い『読み物』としても楽しむことが出来ます。

逆に深い変化と枝分かれを期待する人にとっては物足りない内容だと思います。奇襲戦法側の狙いが上手くいくように『一人将棋で先手後手双方を持って指してるんじゃないか?』と突っ込みを入れたくなるような手順も見受けられます(笑)

『どのように』読むかによって評価が分かれる一冊かもしれません。