小林健二:スーパー四間飛車 最新版2 撃破!居飛車急戦

対棒銀、4五歩早仕掛け、玉頭銀戦法などを解説
この本の詳細をAmazonで見る

評価:B
対象者:5級〜四段
発売日:1997年5月

スーパー四間飛車 最新版1 急戦!居飛穴破り」に続いて刊行された本書では、対居飛車急戦における四間飛車の戦い方をプロの実戦手順を交えつつ解説していきます。

急戦編は前作の対居飛車穴熊編と違い、既に定跡化されている手順ががほとんどのため、掲載手順も多く、1ページあたりに進む手数も増えて難易度が高くなっています。前巻のように四間飛車のルーツ(歴史)を振り返る余分な構成もカットされており、導入部なしに講座がスタートします。

全286ページの5章構成で、見開きに盤面図が4枚配置されています。章末には「スーパーチェック」と題して次の一手形式の簡単な復習問題が、また巻末には「スーパーチャート」というチャート図が折り込まれており、全掲載手順と変化がが一目でわかるようになっています。

第1章 棒銀
第2章 斜め棒銀
第3章 山田流▲9七角
第4章 ▲4五歩早仕掛け
第5章 玉頭銀戦法

斜め棒銀の変化より

第2章 斜め棒銀より:図は▲3四歩まで
以下△3二飛▲2八飛△2四歩(△3四銀は▲同銀△同飛▲2五飛△3八飛成▲2三飛成で将来の▲1六角が攻防で厳しい)▲3三角△6四角▲2六飛に、バッサリと△3三飛と飛車角交換をして▲同歩成△5四銀とするのが面白い指し方。と金を作らせるものの、△1九角成と香車を取って△8四香〜6五銀〜7六銀の狙いがあり後手も十分に指せる分かれです。

第1章の棒銀は本書の約半分を占める144ページにわたって解説されており、その内容も△7四歩型、△4三金型、△6五歩型と幅広いです。

山田定跡における▲9七角の定跡を解説する章では▲8六角→6八角のルートだけでなく、▲6六銀から▲7九角の最短ルートも解説されていたり、当時の四間飛車本では取り上げられることがあまりなかった玉頭銀戦法の章も用意されています。

ただし、▲4五歩の早仕掛けの章では▲2四歩に△同角と取る変化しか解説されていなかったり(現在の主流は△同歩)、棒銀の章では△4二金・5三角・3二飛の最強の構えについてのページがなかったりと、重要でありながらも抜け落ちている部分がいくつか見受けられます。

1997年の刊行当時は、櫛田六段の「世紀末四間飛車 先手必勝編」と並んで四間飛車党が対居飛車急戦を勉強するには最適の一冊だったと思います。

しかし、現在は藤井九段の「四間飛車の急所 Vol.2 急戦大全 上巻」「四間飛車の急所 Vol.3 急戦大全 下巻」が対急戦の決定版ともいえる出来になっていますので、そちらで勉強した方がよいでしょう。

なお、小林九段は同シリーズの自戦記として「実戦!スーパー四間飛車」も著していますので、こちらも参考にしてみてください。