杉本流四間飛車の定跡 居飛車の右四間飛車・4五歩早仕掛けを粉砕

玉頭銀戦法の指し方も紹介されています
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評価:A
対象者:10級〜4級
発売日:2003年12月

生粋の四間飛車党である杉本昌隆六段が、右四間飛車と4五歩早仕掛けというアマチュアに人気のある2つの戦法に対して、四間飛車側の作戦をまとめた本です。

内容は、第一章が対右四間飛車、第二章が対4五歩早仕掛けという構成になっています。

右四間に対しては相腰掛銀型の解説から始まり、その後有力策として▲6七銀型を中心に解説されていくという構成になっています。

居飛車側の作戦は@居飛車急戦、A居飛車持久戦、B飛車先不突き右四間の3つに分けられていて、舟囲い・左美濃・銀冠・穴熊と居飛車の囲いに応じた対策が、それぞれ説明されています。

早仕掛けに対しては、従来からの形である▲6七銀待機型から、本書のお勧めの対策である玉頭銀戦法の解説へと移っていきます。居飛車の△4一金型と△4二金型に分けて、それぞれ説明されています。

この本のセールスポイントは、@初手からの解説のため、流れがつかみやすいこと、A四間側の対策を絞り込んでいるため、その分深い内容になっていること、B他の本ではほとんど見かけない玉頭銀戦法が、詳しく解説されていること、C四間側を後手番にしているため、応用がきくこと(表記は逆になっています)などが挙げられます。

逆に、四間側の対策を絞り込んでいるため、さまざまな変化を勉強したい方には不向きな面があるともいえます。

また、飛車先不突き右四間に対しては、有力な作戦が述べられておらず、難しいという結論で終わっています。そのため、この戦法に対する対策を期待されている方には、少々物足りない部分があるかもしれません。

本書は、右四間飛車の対策に悩まされている方、また玉頭銀戦法の具体的な狙い筋や指し手を覚えたい方にオススメです。この2つに関しては、かなり詳しい良書だといえると思います。