佐藤康光:最強居飛車穴熊マニュアル

高段者も読めるイビアナ本として貴重です
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評価:B
対象者:4級〜四段
発売日:2002年4月

日本将棋連盟から不定期に刊行されている「最強〜」シリーズの第二段は緻密流・佐藤康光棋聖による居飛車穴熊の定跡本です。

全223ページ、見開きで局面図が4枚の四章+自戦記9局という構成です。

第一章は『居飛車穴熊基本編』
ここでは居飛車側が(運良く?)4枚穴熊に組めた時に、飛車角桂馬だけでいかに細かく手を作るか・対石田流で穴熊を捨てる展開・角を▲2六に展開する指し方・・・等の対四間飛車におけるオーソドックスな指し方を中心に解説されています。

第二章は『対(後手)藤井システム』
まず「藤井システム」の威力を検証するために、居飛車が無策に駒組みを進めた場合を紹介し、次に▲5七銀〜▲6七金〜▲7八金と駒の連絡を密にしてから▲9八香と上がる変化・▲5七銀を保留し▲7七角とする変化・船囲いから急戦を解説・・・という流れになっています。

第三章は『対先手藤井システム』
一時期プロ間で流行した、居飛車が8筋、振り飛車が6筋からそれぞれ龍を作りあい一気に寄せ合いとなる激しい変化・ミレニアム戦法での主要変化が解説されています。

第四章は『相穴熊』
居飛車穴熊側から隙をみて▲5四歩と突いて角交換を狙い、飛車先を突破する手順の解説(この章はどちらかというとオマケのような感じです)。

各章ともかなり細かい手順まで解説されているので、見開き4枚の局面図があっても実際には盤で並べないと相当キツイです。

紹介されている局面数に差があるものの、難易度的には「東大将棋ブックス・四間飛車道場」とほぼ同じと考えてもらっていいと思います。

ただ、紹介されている手順は嘘・偽りのない本格的なものですので、居飛車穴熊の定跡を勉強したい方にはピッタリの一冊ではないでしょうか。
渡辺竜王の「四間飛車破り 居飛車穴熊編」とあわせて参考にしてみてください。

なお、既刊の「最強」シリーズには本書のほかに「久保利明:最強四間飛車マニュアル 急戦編」「鈴木大介:最強力戦振り飛車マニュアル」があります。