四間飛車道場 第7巻 相穴熊

△5四銀から飛車を6二に展開する攻撃的なスタイルが基本です
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評価:A
対象者:5級〜六段
発売日:2002年10月

数年前の将棋世界の読者投稿で「最近のプロは穴熊ばっかりで見ていて面白くありません。(中略)特にテレビ将棋での相穴熊だけはどうにかならないものでしょうか?」という男性の嘆きが紹介されていましたが、最近の24でも同じような趣旨のチャットをよく耳にします(笑)。

そんな中、相穴熊解説だけに丸々一冊を割いた非常にマニアックな本(アンチ穴熊党には悪夢の一冊かも)が、今回紹介する四間飛車道場(第7巻)相穴熊編です。

ネット将棋で頻出の局面
第5章 ▲6七金型より:図は△4五歩まで

居飛車から強引に角交換に持ち込みます
第2章 ▲6八銀型 VS △5一金型より:図は▲2四歩まで

四間穴熊側のポイントとしては、早めに△5四銀と繰り出して@▲6六歩と穏やかにきたら、△6二飛とまわり6筋に攻めの照準を合わせる(上図1枚目を参照)。A(▲6六歩に代えて)▲6六銀なら△6四歩と突き、▲5五歩に△6五銀とぶつける。といったように、非常に積極的な手が挙げられています。

やはり漫然と組み合っていては、2筋が伸びている分居飛車穴熊側が有利という認識なのでしょう。

また、一時期ブームとなった居飛車側が4枚穴熊から▲2四歩〜▲3五歩と突き捨てて、▲6五歩から強引に角交換に持ち込んで2筋を突破する華々しい形(上図2枚目を参照)も、非常に詳しく解説されています。

最近になって見られるようになった松尾流穴熊(▲6七金〜▲7八金の形から、右の銀を5七→6八→7九としてがっちり4枚に組む形)が載っていないのは少し残念ですが、今後相穴熊だけで一冊の本が出るとは考えにくいので、穴熊党の方には貴重だと思います。

相穴熊における戦い方のコツを勉強したい方には、四間穴熊のスペシャリスト広瀬五段と遠藤正樹アマの「とっておきの相穴熊」や、美馬和夫アマの「秘伝 穴熊王」、四間穴熊対銀冠を勉強したい方には「四間飛車道場 第8巻 銀冠vs穴熊」もお薦めです。