四間飛車道場 第13巻 藤井システム

先手が居飛車穴熊を目指す形がテーマです
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評価:B
対象者:5級〜六段
発売日:2003年10月

居飛車穴熊の猛威の前に激減した四間飛車党を再び増加させ、藤井九段が創案した「藤井システム」。登場から10年経った現在でも進化を続け、プロ・アマ問わずに多くの支持を得ています。

居飛車側の対策も合わせて進化し、1.とにかく居飛車穴熊を狙う 2.▲3六歩と急戦を匂わせて△6二玉と指させてから居飛車穴熊を目指す 3.振り飛車の玉が不安定なうちに急戦を仕掛ける 4.ミレニアム(トーチカ囲い)を選択する…ほか様々なものがありますが、本書のテーマは1.ひたすら居飛車穴熊を目指す展開を解説していきます。

全219ページの6章構成、見開きに盤面図が6枚配置されています。目次は以下のようになっています。

第1章 藤井システムの駒組み
第2章 VS▲8八玉型
第3章 VS▲7八玉・6七金型
第4章 VS▲7八玉・5八金型
第5章 VS▲7七角早上がり
第6章 △5二金型藤井システム

今は当たり前の△6三銀も当時は常識破りの一手

第6章 △5二金型藤井システムより:図は△8五桂まで
タイトル戦に初めて登場した藤井システムとしても有名な局面です(1997年王座戦第2局 ▲島八段△羽生王座)。代表的な変化手順としては、▲8六角△6五歩▲5五歩△同角▲2四歩△同歩▲同飛△7五歩があります。▲8六角に代えて、▲6八角は△6五歩▲5五歩△6四銀▲2四歩△同歩▲8六歩△5五銀▲8五歩△6六銀▲7七金寄△7五歩と攻め立てられ先手が形勢を損ねてしまいます。

第1章の▲8八玉型で▲7八金と上がる変化手順では、四間飛車側が△6二飛と振り直して、雁木模様に駒組を進める形が解説されています。以下、矢倉VS雁木の居飛車対決の様相を帯びてくるのですが、この10年くらい将棋から離れていた人がこの局面を見て、四間飛車からの変化と聞いたら腰を抜かすでしょう。

本書の発行は2003年ですが、現在(2006年)でも藤井システムは自己進化を続けていますので、出版のタイミングが難しかったと後書きにもありました。

そういった点では、最先端の定跡を追っている高段者にとっては少し古い内容とも言えるかもしれませんが、創案者である藤井九段本人が「藤井システム」を本格的に解説した定跡書を出していないので(入門書的なものはあります)、このシリーズ以外には適書がないといったところでしょう。

シリーズ次巻となる「四間飛車道場 第14巻 藤井システム封じ」では、居飛車側が早めに▲3六歩と突き急戦の仕掛けを見せ、振り飛車側に△6二玉と上がらせてから居飛車穴熊を目指す指し方を解説していきます。