鈴木大介:三間飛車戦法

良くも悪くも創元社の簡単なつくりです
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評価:C
対象者:6級〜二段
発売日:2004年3月

三間飛車=中田功六段というイメージが出来上がっていますが、本書の著者である鈴木大介八段も実戦や『振り飛車ワールド』での連載講座(石田流)にて定評がありますね。

本書では三間飛車における戦い方を急戦・持久戦の両方にわたって解説してあります。222ページ、見開きに局面図が4枚の全三章構成。

第一章 対急戦の戦い方
第二章 対持久戦:左美濃
第三章 対持久戦:居飛車穴熊
*各章末に復習問題あり。

前書きに『身近なようでとっつきにくかった三間飛車を、誰もが指しこなせるように体系だてて解説したのが本書である』とあるんですが、あんまり体系立てがなされていません(笑)

内容は定跡解説が4割・残りが「こんな感じで指せばまあ三間飛車有利でしょう」的な鈴気流のアバウト・・・じゃなかった分かりやすい解説、といった感じです。

対急戦編では、あまり見ない形ですが、左銀を▲57銀→▲46銀→▲37銀とガッチリ構える美濃囲いでの戦い方を詰みに至るまで一直線で解説。

△4三銀型の三間飛車や定跡の最前線である▲5五歩早仕掛けから居飛車が▲1五桂馬と打つ変化全く触れられていません。

対左美濃編では天守閣美濃だけではなく、米長玉や4枚銀冠についてもページを割いています。

全項にわたって共通しているのは、同じ三間飛車本である『コーヤン流三間飛車の極意 急戦編』・『同 持久戦編』と内容でかぶっている部分が非常に少ないという点です。『コーヤン流〜』を意識したかどうかは定かではありませんが、他書では見ない形が多く目に付きます。

一冊に急戦・持久戦双方をまとめたという構成上の関係か、各局面図からの枝葉が少なくグイグイと進みますので、定跡を基本から学びたい方は本書を見送った方がいいと思います。

ただ、頻出度の低い局面が多いながらも、三間飛車特有の「左辺を軽く捌く」という手順は多く掲載されていますので、ある程度の棋力がある方は参考になるのではないでしょうか?