三間飛車道場(第3巻)急戦

4五歩早仕掛けや5七銀左型急戦を解説しています
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評価:A
対象者:5級〜四段
発売日:2004年10月

1、2巻は持久戦を扱いましたが、第三巻は後手三間飛車に対する急戦がテーマとなっています。後手三間は美濃囲いが完成する前(△72銀と閉まる前)に先手に手番が回ってくるので、超速攻の45歩急戦を狙われます。

この形のスペシャリストである中田功六段の「コーヤン流三間飛車の極意 急戦編」では、玉を△8二玉と寄らずに7二の地点で待機し、△6一金が浮き駒にならないようにし、代わりに△9四歩と玉の退路を作る高等戦術が解説されていましたが、本巻ではこの△9四歩型と通常の△8二玉型の両方が掲載されています。

221ページ、見開きに局面図が4枚の全三章構成です。なお、三間飛車道場はこの第三巻で完結となります(別に石田流道場が1巻あります)。目次は以下の通り。

序章 基本図までの駒組み
第一章 5七銀左型急戦(分岐まで先手4六銀に後手5六歩と後手5四銀ほか)
第二章 4五歩早仕掛け(先手5五歩に後手同歩と後手4三銀)
第三章 5三歩型三間飛車(先手3七桂に後手2二飛と後手5四歩、後手4三銀)
第四章 後手9四歩早突き

第一章 5七銀左型急戦より:図は▲4六銀まで

前述の「コーヤン流三間飛車の極意 急戦編」では、図から△5四銀のみしか解説されていませんでしたが、本書では同じく有力な手段である△5六歩以下の手順も詳しく解説されています。

また、その△5四銀型も「コーヤン流〜」以上に突っ込んで研究がなされており、寄せの段階までが掲載されていますので、中田六段の著書を読んだ方でもさらなるステップアップを図れるでしょう。

近年、三間飛車に関する棋書は数多く出版されてきましたが、急戦を完全に網羅した定跡書は青野九段の名著「先手三間飛車破り」以来全然出ていなかったので、居飛車党も三間飛車党の方も本書は手元においておきたい一冊です。だいたいマイコミュの棋書って、あとになって欲しいと思ったときには絶版になっているんですよね〜。

なお「東大将棋ブックス」シリーズの次作は「中飛車道場」となっており、第一弾ではゴキゲン中飛車の超急戦を見ていきます。